学生と社員が語った、日立市で学び、働くということ~茨城大学オープンキャンパス トークセッションレポート~

茨城大学オープンキャンパス

2026年9月8日

2026年8月1日、茨城大学日立キャンパスで行われた工学部のオープンキャンパス。その企画の一つとして、日立地域をルーツとする株式会社日立製作所(以下、日立製作所)とJX金属株式会社(以下、JX金属)、そして茨城大学工学部の三者によるトークセッション「日立発、共創とキャリアの現在地 ― 企業と大学が語る“いま”の働き方と学び」が開催され、会場いっぱいの250名を超える高校生や保護者が来場しました。

 

大学での学びが仕事にどうつながるのか、地域で働くことにはどのような意味があるのかを、進路選択を控えた来場者に向け、登壇者がそれぞれの経験から語りました。当日の様子をお届けします。

〈登壇者 紹介〉

 

日立製作所 

インフラ制御システム事業部 事業主管 兼 大みか事業所長 松本一人さん(茨城大学工学部卒業生)

インフラ制御システム事業部 発電制御システム設計部 後藤真太郎さん(茨城大学工学部卒業生)

 

JX金属 

茨城事業所長 相場玲宏さん

茨城事業所 設備技術部 齊藤亘輝さん(茨城大学工学部卒業生)

 

茨城大学

工学部長 横木裕宗さん

工学部 学生広報委員3名


鉱山から始まった、モノづくりのまち

セッションの冒頭では、茨城大学工学部の横木学部長が、「日立地域は鉱山から始まり、企業が技術を育て、大学が人財を育ててきました」と語り、日立地域と工学部の歩みに触れました。

 

茨城大学工学部は、2023年7月にJX金属と、2025年7月に日立製作所とそれぞれ包括連携協定を締結。日立製作所との包括連携協定*1 では、地域の発展を支える理工系人財の育成や、地域課題の解決・活性化を掲げ、日立グループ合同インターンシップや地域課題をテーマとした共創活動、女子中高生の理系選択を応援する取り組みなどを進めています。この取り組みの一環として、日立製作所は本トークセッションに登壇しました。

*1茨城大学工学部と日立製作所が包括的な連携協力に関する協定を締結:2025年7月30日

 

続いて、JX金属の相場さんと日立製作所の松本さんが両社の歴史や事業について紹介。日立地域に根づく、モノづくりの土壌が共有され、いよいよトークセッションです!

横木学部長


 

企業と大学の対話から探る、学びとキャリアのヒント

茨城大学の学生や来場者から寄せられた質問に日立製作所やJX金属の社員が自身の経験を交えながら回答。進路やキャリアについて語り合ったトークセッションの様子を一部抜粋してお届けします!

 

―これからの学生に期待することは?

JX金属の相場さんは「AIの発展により、多くの情報を容易に得られるようになりました。しかし、周りに協力してもらいながら、一つの製品や事業を創り上げるうえでは、自分で課題を見つけ、考えることが一層重要になると思います」と語りました。

 

日立製作所の松本さんが伝えたのは、多様な考え方に触れ、経験を積むことの大切さです。

「若いうちに挑戦も失敗もたくさんしてほしいです。失敗した時にはその原因を考え、どう立て直すか。そうした経験は、社会人生活の中でも生きてきます」

 

情報を多く得られ、変化も大きい時代だからこそ、自分で考え、立て直す力に改めて目が向けられました。

JX金属 相場さん

 

―大学での研究は、企業の製品やサービスにどうつながる?

松本さんは、大学での研究がそのまま企業の製品などに直結するケースばかりではないとしたうえで、「基礎がなければ、応用することはできません。学生のうちにしっかりと基礎を身につけ、会社に入ってからさまざまなことに挑戦してほしいです。学生時代の学びを製品やソリューションの開発に生かし、ぜひ世界へ届けていってください」と話しました。

 

卒業生の若手社員も、大学時代の研究テーマとは異なる仕事に携わりながらも、大学での学びが業務の基礎となり、研究で培った探究心や問題解決力などが実際に生きていると語りました。

 

―学生時代にやっていてよかったことは?

日立製作所の後藤さんはこう話します。「会社に入ると、一人だけでできることはほとんどありません。だからこそ、部活動やサークルなどで役割を分担しながら一つのことに取り組んだ経験が、仕事にも生きてきます。うまくいかなかったとしても、次にどう関わるかを考える大事なきっかけになります」

 

JX金属の齊藤さんも、イベント運営のアルバイトで、立場の異なる人と共通の目的に向かって取り組んだ経験が、現在の仕事につながっていると振り返りました。

 

―仕事で大切にしていることは?

齊藤さんは、「現場をはじめ、さまざまな関係者と認識を合わせることを意識している」と言います。

 

後藤さんが挙げたのは、自分が納得できるまで考え抜くこと。「自分の理解が不十分なままだと、相手にもきちんと説明できません。自分の言葉で説明できるところまで考え抜いてこそ、納得していただけるものを届けられると考えています」

 

この「相手と共通認識を持つために考え抜く」という姿勢は、企業における人財育成方針について問われた松本さんの言葉にも通じます。

「経験を重ねるにつれ、役割は自分の担当業務から、若手の支援やチームのマネジメントへと広がります。そこで必要になるのが、相手の状況を理解し、同じ方向へ進むためのコミュニケーションです」

 

立場や役割が変わっても、相手を理解しながら仕事を進める姿勢の重要性は変わらない――そう感じさせるやり取りでした。

日立製作所 松本さん

 

―入学前からやりたいことは決まっていたのか

登壇した皆さまも、「電気が身近で使われていたから」「高校のロボット研究がきっかけ」と、はじまりは素朴な関心からでした。学ぶうちに興味が変わり、視野が広がったといいます。

 

横木学部長も「最初から確かな目標がなくても構いません。学ぶ中で面白いものを見つけ、そこから加速していく。やりたいことを探すこと自体が、大学で過ごす時間の意味です」とメッセージを送りました。

 

また、在学生からは「茨城県にはたくさんの工場が身近にあるため見学に行きやすく、授業で学んだ内容が現場でどう使われているかを実際に目にできる」というリアルな声も。

日立製作所 後藤さん


おわりに:ここで学び、ここで働くということ

最後は、副学部長の道辻洋平さんが会を締めくくりました。企業の研究開発拠点と大学が近くにある日立市は、学びと仕事が自然につながるまち。今回のオープンキャンパスを、「将来何に挑戦したいかを考えるきっかけにしてほしい」と呼びかけました。

 

登壇者が歩んできたキャリアはそれぞれ異なっていても、大切にしていることは共通していました。会社も世代も違う人が同じ姿勢を語るからこそ、その言葉は参加した高校生や保護者にも説得力を持って届いたのだと思います。

 

大学と企業が、同じ目線でキャリアや働き方を語り合う。そんな光景が生まれるのは、企業と大学が近い距離で人財を育ててきた、日立市だからこそではないでしょうか。

 

日立製作所はこれからも茨城大学工学部との連携を深め、地域社会の発展と多様な人財の育成に取り組んでいきます。今後の活動にもぜひご注目ください!

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