2026年4月16日
2026年3月16日から19日まで、米国カリフォルニア州サンノゼのSan Jose McEnery Convention Centerにて、NVIDIA主催の年次イベント「NVIDIA GTC 2026(NVIDIA GPU Technology Conference) 」 が開催されました。真夏を思わせる30℃超の暑さの中、会場は世界中から集まった来場者の熱気に包まれ、AI・ロボティクスを軸とした次世代産業の方向性が数多く示されました。本レポートでは、NVIDIAの創業者/CEOであるジェンスン・フアン(Jensen Huang)によるキーノートセッションや展示に加え、日立が登壇・出展したセッションおよび展示内容を中心に、現地の様子をお届けします。
NVIDIA GTCは、NVIDIAが主催する世界最大級の開発者・ビジネス向けカンファレンスで、世界各国からITプロフェッショナル、開発者、ビジネスリーダーが集います。今年はサンノゼ現地には約3.5万人の来場者が集まり、850以上のセッションやワークショップ、そしてNVIDIAやパートナーによる展示が実施され、会場は終始活気にあふれていました!
イベント初日に開催のキーノートセッションは、約1万7000人規模のアリーナSAP Centerで開催されました。また、屋内展示会場 San Jose Convention Center(SJCC)の向かいに位置する公園にも、パブリックビューイング用の大規模な屋外ステージが設置され、キーノートセッションをはじめとした各種セッションのライブ配信が実施されていました。キーノートにはNVIDIAのJensen Huang がトレードマークの革ジャンスタイルで登場。GTC 2026は、AIが「考える技術」から「産業を動かすインフラ」へ進化したことを宣言する場となりました。特に、推論(Inference)を中心としたAI活用、AI Factoryという新しいデータセンターの概念、フィジカルAIによる実世界への展開、が強調され、産業・社会インフラ分野におけるAIの本格実装フェーズへの移行が示されました。
今回のGTC 2026では、日立は複数のセッションに登壇し、HMAX by Hitachiの全体像の紹介に加え、Physical AIを実社会や産業インフラへ実装していく日立の強み、そしてNVIDIAとの協業による価値創出を強調しながら、エネルギーや製造業、鉄道といった各業界における具体的な取り組みを紹介しました。「The Velocity of Volts:Hitachi and NVIDIA Bring Physical AI to Energy Infrastructure」と題したセッションでは、Roslyn Stuart(Hitachi Digital, VP of Energy and Mobility)および Adrian Timbus(Hitachi Energy, Head of Portfolio & Market Strategy)が登壇しました。
アメリカをはじめとする各国で急速に拡大する電力需要を背景に、エネルギーインフラ分野が直面する課題に対する解決策の一つとして、日立とNVIDIAが協業して取り組んでいるPhysical AI活用のソリューションを紹介。特に、送電網(グリッド)への新たな電源接続に要する時間を、従来比で最大80%短縮している取り組みについて具体的な事例を交えて説明し、Physical AIとデジタルツイン、シミュレーション技術を組み合わせることで、エネルギーインフラの高度化と迅速な意思決定が可能になる点や、電力需要の急増という社会課題に対し、AIを活用した実践的なアプローチを提示しました。
また、NVIDIAが主催する2つのパネルディスカッションにも日立が登壇しました。
一つ目は、製造業をテーマとしたパネルディスカッション「Building the Future of Manufacturing」です。本セッションでは、半導体・エレクトロニクス、産業・プロセス製造、ロボティクス分野を代表する業界リーダーが登壇し、日立からは Roslyn Stuart(Hitachi Digital, VP of Synergy Creation)がパネリストの一人として参加しました。
製造業がAI、ロボティクス、シミュレーションの進化によって新たな時代へと突入する中で、先進的なユースケースを紹介するとともに、これらの技術がイノベーションを促進し、生産システムの再構築や、次世代の製造・倉庫施設の設計および運用をどのように変革しているのかについて語りました。
もう一つは、「The Future of Industrial Autonomy」と題したパネルディスカッションです。本セッションには、Mariella Guerricchio(Hitachi Rail, Chief Innovation and Technology Officer)がパネリストの一人として登壇。スケーラブルで高い安全性が求められるエッジAIの導入において、NVIDIAのAIインフラを活用してスタートしたHMAX Mobilityを中心にご紹介。日立が長年培ってきた鉄道や交通分野におけるOT(制御・運用技術)とドメインナレッジに、AIやデータ分析技術を組み合わせることで、よりスマートで安全な交通・モビリティシステムの実現を支援するソリューション群HMAXにより、保守コストの削減や設備寿命の延長、安全性・信頼性の向上といった価値を日立は提供している点を強調しました。
セッションの様子は、NVIDIA On-Demandのサイトに掲載されています。無償で閲覧可能ですのでぜひご覧ください!
「The Velocity of Volts:Hitachi and NVIDIA Bring Physical AI to Energy Infrastructure」
U.S. electricity demand is rising fast. But connecting new energy sources to the grid is challenging, with twice the total generated power capacity (1
www.nvidia.com
「The Future of Industrial Autonomy」
This panel brings together industry leaders from Honeywell Industrial, KION Group, Caterpillar, Medtronic, Hitachi Rail and GXO to explore how advanced AI
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「Building the Future of Manufacturing」
The manufacturing industry is entering a new era, driven by AI, robotics, and simulation. Join distinguished leaders from the semiconductor and ele...
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GTC 2026の展示会場では、NVIDIAが本イベント全体の重要テーマとして掲げている「Physical AI」を体現する展示が数多く見られました。AIがデジタル空間にとどまらず、ロボティクスやシミュレーション、デジタルツインなどを通じて実世界に直接作用し、具体的な価値を生み出す段階へと本格的に移行していることが、展示全体を通じて強く示されていました。
中でも特に印象的だったのは、Physical AIをテーマとしたロボット展示の多さです。会場内では、宙返りやダンス、ボクシングといった高度かつダイナミックな動作を披露するロボットのデモが随所で行われており、来場者が足を止めて見入る光景が多く見られました。これらのデモは、単なるパフォーマンスにとどまらず、AIがリアルタイムに周囲環境を認識し、判断・制御を行いながら物理世界で動作している様子を直感的に伝える内容となっていました。
GTC 2026の公式メッセージにおいても、AIは「考える技術」から「産業や社会インフラを動かすインフラ」へと進化している点が強調されており、今回のロボット展示はその象徴的な事例であったと言えます。
ロボットによる身体動作のデモは視覚的なインパクトが大きい一方で、その背後には高精度なシミュレーション、センサーフュージョン、エッジAI、アクセラレーテッド・コンピューティングといったNVIDIAの技術基盤が密接に連携しており、Physical AIがすでに実用段階に入っていることを強く印象付けるものでした。
NVIDIA AI Factory MGX Ecosystemエリアでは、NVIDIAが提唱するAIファクトリーのコンセプトを支える最新のGPUや関連ハードウェアが展示されていました。特に、次世代のアクセラレーテッド・コンピューティングを象徴するGPUは来場者の関心が高く、実機を写真に収めたりする来場者の姿が数多く見られました。
GTC 2026における日立の展示では、「Physical AI in Action」をテーマに、HMAX by Hitachiを中心としたソリューションを紹介しました。
ブースでは、物理・産業分野におけるAI活用を具体的に示すインダストリアルエージェントや、データ基盤からAI活用までを支えるHitachi iQ AIソリューションを通じて、AIを実世界に実装し、社会課題の解決や産業の高度化につなげる日立の取り組みを分かりやすく発信しました。
各デモでは、エネルギー、モビリティ、製造業など、社会インフラを支える幅広い分野において、AI・データ・OTの知見を融合させたユースケースを紹介しており、来場者は説明に熱心に耳を傾ける様子が見られました。
デモを通じて、AIを単なるデジタル技術としてではなく、現場で価値を生み出すPhysical AIとして実装している点に関心が集まり、日立ならではの強みが伝わる展示となっていました。
実際にデモの説明を聞いた来場者からは、「さまざまな業界や分野で社会インフラを支えている日立の取り組みについて理解が深まった」「AIを現実の課題解決に結びつけている点が印象的だった」といったコメントも聞かれ、日立の事業領域や価値提供に対する認知向上につながったことがうかがえました。
また、屋内展示会場である San Jose Convention Center(SJCC)の向かいに位置する公園には、複数の協賛企業がブースを出展しており、日立グループとしては日立ヴァンタラが屋外ブースを展開しました。ブースの1階にはミニステージを設け、HMAX by HitachiやHitachi iQをはじめとしたAI・データ基盤ソリューションについて紹介を行いました。屋外という開放的な環境の中で、短時間でも内容を理解できるプレゼンテーションが実施され、通りがかりの来場者も気軽に足を止めて聴講する様子が見られました。
屋内の日立ブースと連動したスタンプラリー企画も実施。SJCC内の日立ブースや他の関連企業ブースでスタンプを集めた来場者が、この屋外の日立ヴァンタラブースを訪れ、プレゼンテーションを聴講した上で景品を受け取る姿が見られました。プレゼン終了後には、登壇者と直接会話を交わす来場者の姿も多く、展示内容に対する関心の高さや、対話を通じた理解促進につながっている様子がうかがえました。
NVIDIAが主催する「NVIDIA Partner Network Award 2026」において、日立は「Best Software Partner Award」を受賞し、GTC 2026の会場で開催された授賞式でトロフィーが授与されました。
NVIDIA Partner Network Award は、AI活用の拡大を通じてNVIDIAのアクセラレーテッド・コンピューティング・プラットフォームの普及に貢献したパートナーに授与されるアワードです。
本受賞は、日立が NVIDIA との協業のもと、フィジカル AI の取り組みを推進し、「カスタマーゼロ」の考え方に基づいて自社現場での検証と改善を重ね、その成果をお客さまの価値創出につなげてきた点が評価されたものです。
日立は今後も、IT・OT(制御・運用技術)・プロダクトを併せ持つ強みと、日立グループの幅広い事業領域で培ってきたドメインナレッジを生かし、AI技術の社会実装を通じて課題解決に貢献していきます。
GTC 2026を通じて日立は、AI技術の進化を現場起点で磨き上げ、お客さまや社会が直面する課題解決へとつなげていくパートナーであることを改めて示しました。そして、会期中には多くのお客さまやパートナーとの対話が生まれ、日立の強みや方向性に対する関心と期待を直接感じる機会となりました。今後も日立は、NVIDIAをはじめとするパートナーとの連携を強化しながら、HMAXの展開を通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献していきます。
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