2026年9月1日
2026年6月17日、渋谷ストリーム内のGoogle Cloudオフィスにて「第1回 Gemini Enterprise活用コンテスト」の本選が開催されました!
本コンテストは、日立社員を対象に、デジタルシステム&サービスセクターを中心に利用が拡大しているGemini Enterpriseの活用促進と、優れたユースケースの共有を目的に実施されたもの。応募総数112件の中から選ばれた10チームが本選に集い、それぞれの現場で直面する課題や、その解決に向けたAI活用のアイデアを発表しました。当日の模様はMicrosoft Teamsでもライブ配信され、オンラインでは500名を超える社員が視聴。リアル会場とオンラインの双方で大きな盛り上がりを見せた本コンテストの様子を、当日の会場の雰囲気とともにレポートします!
コンテストは、AI &ソフトウェアサービスビジネスユニットの西事業主管による開会メッセージからスタート。
西事業主管は、AI活用そのものではなく、その先にあるトランスフォーメーションの実現こそが重要であると話し、社員一人ひとりがAIを使いこなし、お客さまや市場に向けて「日立ではこんな活用をしている」と発信できる存在になってほしいと期待を寄せました。また、一人で考えるのには限界があるとして、社員同士が活用事例やアイデアを共有し合い、刺激し合いながら活用の輪を広げてほしいと呼びかけました。
続いて登壇したGoogle Cloud Japanの浅井執行役は、参加者への期待を語るとともに、「せーの、ジェミニ!」の掛け声で会場の一体感を高めました。
本選では、最終本選に進出した10チームがそれぞれの現場課題をGemini Enterpriseでどのように解決するのかをプレゼンテーション形式で発表。発表後には審査員との質疑応答に加え、参加者からのコメントやフィードバックも寄せられ、会場は終始活気ある雰囲気に包まれました。
今回のコンテストには、営業、開発、品質保証、バックオフィス、現場業務などさまざまな分野から応募が集まりました。その中から本記事では、「品質」「現場力」「組織知の活用」といった日立らしさが感じられた事例をピックアップしてご紹介します。
営業活動における失注案件の振り返りにGeminiを活用し、過去の議事録や提案資料から失注要因や改善ポイントを可視化する取り組みです。Geminiが商談に関する議事録や提案書を横断的に分析し、失注に至った経緯や顧客の反応を整理。発言内容だけでなく、その背景にある温度感や商談の流れも踏まえながら、営業活動を振り返ることができます。一般的に、営業組織では成功事例に注目が集まりがちですが、「失注リフレクター」はあえて失敗事例に着目。個人の経験に埋もれがちな知見を組織全体の資産として活用することで、営業力強化につなげようとしています。本取り組みがめざしているのは、単なる営業分析の効率化ではありません。失注を恐れず、失注から学べる営業組織への文化的転換をGeminiの力で後押しすることなのです。
発表では、「もし今回、入賞できなかったとしても、失注リフレクターを使って敗因を分析したい」というコメントも飛び出し、自らの結果ですら学びの対象にしようという徹底ぶりに、会場からは笑いも起こり、発表の印象をさらに強くしました。審査員からは、「失注分析だけでなく、受注分析にも応用できるのではないか」というコメントも寄せられ、今後の発展性にも期待が集まりました。
データセンターなど情報端末機器の持ち込みが制限される現場において、手書き帳票のExcel転記業務をGeminiで効率化する取り組みです。従来は、Excelシートを印刷して現場で手書き記入し、事務所へ持ち帰ってから再度Excelへ転記する作業が必要でした。本取り組みでは、Geminiが得意とする文字認識機能を活用することで、こうした転記作業の負担軽減をめざしています。
この取り組みは、日立パワーソリューションズで進めている現場業務のデジタル化に向けた技術検証の一環です。電力・産業分野の保守事業を担う現場で実際に生じている課題を出発点としているところが、多くの共感を集めました。さらに、本事例で特徴的なのは、すべてをAIに任せるのではなく、Geminiが文字認識やデータ整理を担い、最終的な確認や判断は人が担うという役割分担の考え方です。AIが人を置き換えるのではなく、人がより価値の高い業務に集中できるよう支援する。その考え方は、社会インフラを支える現場と安全・安心を大切にしてきた日立らしいアプローチと言えるでしょう。
システム開発において、設計書レビューは品質確保の重要な工程です。一方で、レビュー品質はレビュアーの経験や知識に依存しやすく、属人化が課題となるケースも少なくありません。本取り組みは、システム開発における設計書レビューの属人化という課題に対し、Geminiを活用して品質向上を図るものです。特徴的なのは、一つのAIがレビューを行うのではなく、複数のAIエージェントがチームとしてレビューを実施する点。
メインエージェントが司令塔となり、6体のサブエージェントへ指示を出してレビューを並列実行。それぞれのサブエージェントが設計の妥当性や整合性、性能、信頼性、運用性など異なる観点を担当し、専門領域ごとにチェックを実施します。その結果をメインエージェントが統合することで、抜け漏れのない多角的なレビューを実現。従来と比較して約200倍の高速化が期待されています。
また、本取り組みはAIに判断を委ねることを目的としたものではありません。AIによるレビュー結果はあくまで参考情報として活用し、最終的な判断や責任は人が担います。
審査では、AI&ソフトウェアサービスビジネスユニットの西事業主管が語った「品質は日立の魂」という言葉に象徴されるように、日立が長年培ってきた品質へのこだわりと生成AIを融合した取り組みとして高く評価されました。人とAIがそれぞれの強みを生かしながら協働することで、品質向上と属人化の解消をめざしています。
表彰式では、日立賞を受賞した「失注リフレクター」「Geminiマルチエージェントによる設計書レビュー支援」、Google Cloud賞を受賞した「ExcelScribe 手書き帳票のExcel自動転記ツール」をはじめ、受賞チーム5組へオリジナルグッズが贈られました。
その景品を決めるために使われたのは、なんと、事務局がGeminiを活用して作成したデジタルくじ引きアプリ。コンテスト運営にも生成AIが活用されていたのは印象的でした。
閉会にあたり、デジタルシステム&サービス 経営戦略統括本部 内藤統括本部長は、自身もGeminiを日常的に活用している愛用者であることに触れながら、「今日の皆さんのアイデアを見て、『こういう使い方もあったのか』と非常に勉強になった。今すぐにでもやってみたいと思うアイデアがたくさんあった」と振り返るとともに、この活動は、自らが使い倒し、自分たちの業務を良くしていく日立の「カスタマーゼロ」の取り組みにもつながるものだと位置づけました。そして、「何より、社員のみなさんが本当に楽しそうに仕事をしている姿を見ることができてうれしかった」と参加者の挑戦をたたえました。締めくくりには、内藤統括本部長の「すごいぞ!」という呼びかけに、会場が「Gemini!」と答える場面もあり、参加者の一体感が感じられるひと幕となりました。
さらに、Google Cloud Japanの渕野執行役は、「発表内容はもちろん、質疑応答からも新しいアイデアが生まれていることを感じ、大きなやりがいと達成感を得られた」と振り返りました。さらに、「第1回とは思えないほどレベルが高かった。今後も回を重ねるごとに、さらに素晴らしい取り組みが生まれていくと確信している」と期待を語りました。
今回のコンテストで印象的だったのは、AIそのもののすごさを上回る、「自分たちの仕事をもっと良くしたい」という社員ひとりひとりの創意工夫でした。失注から学ぶ文化への挑戦、現場業務の負荷軽減、品質向上への取り組みなど、テーマはさまざまでしたが、どの発表にも共通していたのは、目の前の課題に真剣に向き合い、AIを活用して解決しようとする姿勢です。また、発表や質疑応答を通じて、お互いのアイデアから新たな気づきを得ている様子も印象的でした。今回の場は、コンテストであると同時に、社員同士が学び合い、刺激し合う場でもあったように感じます。次回は、どんなアイデアが生まれるのか、どんなパワーアップした姿を見せるのか、今から楽しみです。
今回の内容は、Google Cloud JapanのWebサイトでイベントレポートとして公開されています。本記事では、日立のAIトランスフォーメーションという観点から特に印象的だった3つの事例を紹介しましたが、本選では他にも、議事録作成の完全自動化や業務改善支援、グラフィックレコーディング作成支援、財務分析支援など、多彩なアイデアが披露されました。Google Cloud発信のレポートでは、本選に進出した全10チームの発表内容や受賞理由、審査員からのコメントなどが詳しく紹介されていますので、ぜひご覧ください。