株式会社フジタ「地中可視化サービス」活用事例

【前編】ファシリティマネジメントの視点で「見えない地下」に挑む

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2026年9月29日

建設業界でいち早くVE※1に取り組み、顧客価値を追求してきた株式会社フジタ(以下、フジタ)は近年、BIM-FM※2を軸に竣工後の施設管理を通じた顧客との継続的な関係構築をめざしている。その中で直面したのが、ある施設改修案件における「見えない地下」の課題だった。既存図面では把握しきれない地中埋設物の可視化に向けて、ゼネコン業界で初めて日立の「地中可視化サービス」を活用したプロジェクトは、どのように進められたのか。

 

※1 Value Engineering ※2 Building Information Modeling - Facility Management


継続的な関係づくりで顧客価値を高め続ける

建築・土木を基盤に都市開発やまちづくりを幅広く手がけ、豊富なエンジニアリングノウハウと高度な技術力で新たな価値創出に挑み続ける総合建設会社フジタ。同社は1968年に日本の建設業で初めて、必要な機能を適正なライフサイクルコストで実現する「バリューエンジニアリング(以下、VE)」という考え方を導入した。以来、顧客に提供する建設物やサービスの価値向上をめざし、半世紀以上にわたってVE活動を推進している。現在も全社規模の発表会を毎年開催するなど、VEは同社における価値創造の基盤として受け継がれてきた。

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鈴木 康平

株式会社フジタ

建築本部 建築統括部

BLC推進部

認定ファシリティマネジャー 建築設備士

この価値向上の姿勢と通底するのが、同社が近年取り組みを強化している「ファシリティマネジメント(以下、FM)」だ。FMとは、経営的視点から建物・施設を総合的に管理・活用していくアプローチを意味する。「単にコストを抑えるのではなく、より品質の高いものを提供し、お客さまにそれ以上の価値を感じていただくという考えは、VEとFMに共通します。建物を造って終わりにせず、竣工後もお客さまの資産価値を支えることが私たちの役割です」と語るのは、フジタでFM施策の企画・事業化を担う鈴木 康平氏だ。

 

長年、設計・施工を主な事業領域としてきた建設業界では、竣工後に施主との関係が途切れやすいことが共通の事業課題となってきた。見方を変えれば、引き渡し後も顧客との接点を保つことは新たな価値提供の機会となる。その可能性を具体的な価値提供につなげるため、フジタでは設計・施工段階で蓄積した建物情報を竣工後も継続的に活用する仕組みづくりを進めてきた。

BIM-FMを起点とした地中可視化の検討

その中核を担うのが、建物の3Dモデルに部材や設備の属性情報をひも付けて管理するBIMを、竣工後の施設運営・維持管理に活用する「BIM-FMシステム」だ。同システムは、建物の保全履歴や不具合、機器情報などをデータベースに蓄積し、3Dモデル上で共有。複数施設の運用状況や維持管理コストをまとめて把握し、修繕計画や資産活用の判断に役立てることもできる。

 

このBIM-FMシステムをすでに導入していた学校法人愛知淑徳学園 愛知淑徳大学 長久手キャンパス(以下、愛知淑徳大学)では、既存建物の改修計画が進んでいた。そこで浮上したのが、工事予定地の地下に密集するとみられる埋設配管の位置を既存図面だけでは十分に把握できないという課題だ。これを受けて同大学は、システム導入後も定期的なフォローを続けていたフジタに対応策について相談を寄せた。

 

埋設物の位置が曖昧なままでは、事前に試掘して確かめる必要があるほか、工事中の事故や工程変更、手戻りを招き、それに伴う工期延長やコスト増大につながるリスクもある。フジタは当時、日立に建設現場の状況を数値化・可視化するセンシング技術の提案を求めており、その中で有力な選択肢となったのが「地中可視化サービス」だった。エンジニアとして地中埋設物の調査手法を検討したフジタの小林 礼氏は「日立には地中探査の実績があり、技術面でも安心して任せられると感じました。特に注目したのは、探査結果を3Dデータで受け取れるうえ、探査からモデル作成まで一括で依頼でき、費用の見通しを立てやすい点です」と評価する。

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小林 礼

株式会社フジタ

技術センター DX推進研究部

先端ICTグループ

輻輳する地下を捉える現地探査へ

地中可視化サービスは、応用地質株式会社(以下、応用地質)の地中レーダー探査と日立の高度画像解析技術を組み合わせ、地下埋設物の位置や深さを2D・3Dデータで可視化するサービスだ。成果は3D-CADデータとして出力でき、平面的な位置だけでなく地表面からの深さや埋設物同士の位置関係も立体的に把握できる。また、建物モデルなどほかの3D情報と組み合わせて、関係者間の共有や検討に活用することも可能だ。

 

改修対象エリアのうち今回の地中埋設物調査の範囲となったのは、既存建物に隣接する駐車場付近の構内道路を中心とした約400㎡。地上は比較的平坦で探査しやすい環境だった一方、地下では複数の埋設物が重なり合う複雑な状況が想定されていた。探査に向けてフジタは、愛知淑徳大学から提供された既存の調査図をもとに埋設物が特に輻輳しているとみられる場所を抽出。調査範囲の設定に携わった同社の谷口 青空氏は「既存の調査図から特に配管が集中している場所を選び、日立と探査可能な範囲を確認しながら対象を絞り込みました。ちょうど大学が休みの時期で構内の往来も少なく、現地調査を進めやすかったのもよかったです」と振り返る。

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谷口 青空

株式会社フジタ

建築本部 建築統括部

BLC推進部

2026年1月末、プロジェクトチームは地中可視化の作業に着手。改修工事の工程に合わせて3月末までに成果をまとめる必要があったため、フジタは愛知淑徳大学との調整を丁寧に進める一方、日立は応用地質と連携して探査・解析から3D-CADデータの作成までの実施計画を短期間で具体化した。こうして、日立の地中可視化サービスがゼネコン業界で初めて適用される本プロジェクトは、いよいよ現地探査へと歩を進める。

株式会社フジタ

[所在地]東京都渋谷区千駄ヶ谷4-25-2 修養団SYDビル

[創 業]1910年12月

[設 立]2002年10月

[従業員数]3,409人(2026年4月1日現在)

[事業内容]大和ハウスグループの総合建設会社として、建築、土木、都市開発・まちづくり、海外事業などを展開

株式会社フジタのWebサイトへ

学校法人愛知淑徳学園 愛知淑徳大学

[所在地]愛知県長久手市片平二丁目9(長久手キャンパス)/愛知県名古屋市千種区桜が丘23(星が丘キャンパス)

[開 学]1975年(学園創立:1905年)

[学生数]9,081名(学部のみ/2026年5月現在)

[大学概要]「違いを共に生きる」という理念のもと、愛知県内に12学部14学科17専攻、大学院6研究科を擁する総合大学

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