株式会社フジタ「地中可視化サービス」活用事例

【後編】地上と地下の可視化が拓く新たな価値

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2026年9月29日

大学構内の約400㎡を対象に実施された地中探査では、既存図面に記載された埋設物に加え、図面には記載のない地下の反応も確認された。株式会社フジタ(以下、フジタ)は得られた3D-CADデータを簡易な建物モデルと組み合わせ、地上と地下の位置関係を一体的に可視化。改修工事の計画や関係者間の情報共有に役立てるとともに、維持管理や更新、防災などへの活用可能性も見えてきた。ファシリティマネジメント(以下、FM※1)の視界を地下へ広げる今回の取り組みが生み出した価値に迫る。

 

※1 Facility Management


現地探査から3D化までを迅速に推進

2026年2月末、学校法人愛知淑徳学園 愛知淑徳大学 長久手キャンパス(以下、愛知淑徳大学)で日立の地中可視化サービスによる現地探査が実施された。3月末の地中データの納期までに残された期間は実質約1カ月。この限られた時間の中で、約400㎡の対象範囲を探査し、解析結果を3D-CADデータに仕上げる必要がある。

 

短納期に対応するため、フジタは愛知淑徳大学との現地調査の日程調整などを担い、日立は地中レーダー探査を担う応用地質株式会社(以下、応用地質)と連携して探査を進めた。関係者間で進捗や確認事項を密に共有しながら、現地では応用地質が地下の反応を捉えるとともに、路面写真も撮影した。

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増田 真也

株式会社日立製作所 公共システム事業部

公共基盤ソリューション本部

社会インフラ保守事業推進センタ 第1G

探査後、日立と応用地質は解析工程の一部を並行して進め、地下埋設物とみられる反応の位置や深さを3D-CADデータへ変換。さらに、路面を真上から見たように補正したオルソ画像を重ね、地下の反応が地上のどこに当たるのかを確認しやすくした。本プロジェクトで地中探査技術の調査・評価を担ったフジタの小林 礼氏は「通常の地中探査では、結果が2Dの図面や現地へのマーキングで示されることが多いのですが、今回は3Dモデルとして得られた点に大きな違いを感じました。建築工事に活用できれば、事故の防止や工程の進め方を事前に検討できます」と地中可視化サービスの有用性を認める。

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小林 礼

株式会社フジタ

技術センター DX推進研究部

先端ICTグループ

地上と地下の一体表示で現況を直感的に把握

日立の高度画像解析技術で探査データを分析した結果、既存図面に記載された埋設物の反応を確認。さらに、図面には記録されていなかった地下の情報まで3D-CADデータ上に浮かび上がった。配管などが二重三重に輻輳するとみられる箇所も詳細に捉え、その位置関係を深さとともに立体的に描き出している。

 

日立から地中の3D-CADデータを受け取ったフジタは、建物を簡略化したモデルと組み合わせ、地上と地下の位置関係を同じ画面上に立体表示。すでにフジタが提供している「BIM-FM※2システム」と直接データ連携したものではないが、建物と地中情報を一体的に把握できる形式で愛知淑徳大学へ提示した。

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谷口 青空

株式会社フジタ

建築本部 建築統括部

BLC推進部

「図面に記載のない情報が数多く浮かび上がったことに驚き、見えないものを可視化する意義を実感しました。建物モデルとの一体表示によって地上と地下の位置関係を直感的に把握できるようになったことも大きな収穫です」と地中可視化の成果を語るのは、地中の3D-CADデータと建物モデルの組み合わせを担当したフジタの谷口 青空氏だ。データを受け取った愛知淑徳大学の施設管理担当者からも、地下の現況を踏まえた、より具体的な改修計画の立案に役立つと評価されたという。

 

※2 Building Information Modeling - Facility Management

地中情報を施設管理の新たな資産へ

工事に先立って地下の全体像を把握できることの恩恵は大きい。想定外の埋設物による手戻りを防げるほか、合理化し得る作業を見極めやすくなることで、工期短縮や計画精度の向上などが期待できる。また、注意すべき施工箇所と時間をかけるべき工程に関する認識を共有できることは、施設保有者や設計者、施工者といったプロジェクトに関わる人々の安心感にもつながるだろう。

 

さらに、埋設物ごとに「新設/更新/将来用/仮設/残置」といったステータスを付与して管理すれば、更新や撤去を含む改修計画の具体化に有用だ。用途や状態の変化を反映しながら情報を更新することで、地下の現況を継続的に把握するための情報基盤として活用できる。その蓄積を重ねていくことで、ある時点の調査結果にとどまらず、将来の改修や設備更新のための情報資産として関係者間で継承しやすくなり、施設管理業務の属人化防止にも寄与する。

 

ではFMの視点で捉えると、地中情報にはどのような価値が見えてくるのか。その意義は、具体的な改修計画がある場合だけに限られない。建物と外構周りの配管の接続関係やインフラ停止時の影響範囲を把握できれば、災害時に優先して対応すべき場所を定める防災計画にも生かせる。日ごろから敷地内の状態を把握しておくこともまた、施設を総合的に管理するFMの重要な役割なのだ。

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鈴木 康平

株式会社フジタ

建築本部 建築統括部

BLC推進部

認定ファシリティマネジャー 建築設備士

プロジェクトを取りまとめたフジタの鈴木 康平氏は「日立が幅広い事業領域で培った知識や技術と、私たちがゼネコンとして持つ強みを掛け合わせ、お客さまへの新しい価値を生み出していきたいと考えています」と今後の日立との協創を見据える。地中可視化に加え、IoTやドローンなどによる施設状態の可視化にも取り組むフジタがめざしているのは、デジタル技術やデータを駆使した施設管理の高度化だ。

 

地中情報を建物情報と組み合わせることで、改修工事や維持管理、防災を支える実践的な情報として生かせることを示した今回のプロジェクト。これからも日立は、フジタとの協創を通じて現場に根差した知見を着実に蓄積し、建設分野における地中可視化サービスのさらなる可能性を追求していく。

株式会社フジタ

[所在地]東京都渋谷区千駄ヶ谷4-25-2 修養団SYDビル

[創 業]1910年12月

[設 立]2002年10月

[従業員数]3,409人(2026年4月1日現在)

[事業内容]大和ハウスグループの総合建設会社として、建築、土木、都市開発・まちづくり、海外事業などを展開

株式会社フジタのWebサイトへ

学校法人愛知淑徳学園 愛知淑徳大学

[所在地]愛知県長久手市片平二丁目9(長久手キャンパス)/愛知県名古屋市千種区桜が丘23(星が丘キャンパス)

[開 学]1975年(学園創立:1905年)

[学生数]9,081名(学部のみ/2026年5月現在)

[大学概要]「違いを共に生きる」という理念のもと、愛知県内に12学部14学科17専攻、大学院6研究科を擁する総合大学

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