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~廃炉という重要プロジェクトに携わることに、やりがいと責任を感じています~

原子力事業を通じて、次世代へよりよい未来を

原子力営業本部 原子力第一部 / 営業 / 久田 貴之

国際プロジェクト「ITER」で、
核融合エネルギーの実現に挑む

~核融合反応を支えるNBI超高電圧電源設備の設計開発を担当しています~

核融合・加速器推進センタ / NBI設計グループ / 田中 遥暁

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失敗が許されない緊張感と、脱炭素に
貢献できるやりがいを感じています。

現在、核融合(※1)発電システムの重要なコンポーネントである、中性粒子ビーム入射装置(NBI)(※2)用の超高電圧電源設備の設計開発を担当しています。
核融合発電は、燃料がほぼ無尽蔵、かつ発電の過程でCO2や高レベル放射性廃棄物を排出しない原理的に安全性が高い発電方式で、次世代の脱炭素エネルギー源として世界中から期待されています。日立製作所は1970年代からこの分野の研究開発を開始しており、現在は核融合・加速器推進センタが中心となって核融合実験炉に向けたさまざまな機器・装置の設計開発を行っています。核融合エネルギーの科学的・技術的成立性を実証するための国際プロジェクト「ITER(国際熱核融合実験炉)」にも参画しています。

私の所属するNBI設計グループでは主にITER用NBIと、その実機建設前にNBIの試験を行う施設(※3)に向けた超高電圧電源設備の設計開発に携わっています。この電源設備は、1MVという一般的な電気製品とは桁違いの超高電圧を発生させNBIへ供給する役割を担い、多数の昇圧変圧器と整流器、サージ(過電圧)吸収機器、絶縁された伝送ラインなどで構成されます。高さが10mを優に超える大型の構造物も多く、設計では電気的な性能や熱管理はもちろん、耐震性などの構造安全性まで総合的に考慮しなければなりません。極めて高い品質水準が求められ、失敗が許されないという緊張感はありますが、その設計開発を通じて脱炭素社会の実現に貢献できることに、高揚感とやりがいを感じています。

「ミッションクリティカルである」
という責任を常に意識しています。

私が核融合の技術開発を志した原点は、幼い頃に知った地球温暖化やエネルギー問題の深刻さでした。大学では核融合プラズマのシミュレーション研究を行い、大学院では先進核融合炉の実験に取り組みました。

日立製作所に入社したのは2023年。1年目にはイタリアのNBI試験施設に赴き、電源設備の設計報告を行う機会を得られました。海外の研究者や顧客を前に、設計者として一人で説明を行うことにはプレッシャーもありましたが、今後の糧となる経験になったと感じています。現地で実際に製品が形になっていく姿を目にし、核融合の未来に関わる仕事をしていることも実感できました。

業務で最も大切にしているのは、「自分の仕事はミッションクリティカルである」という意識です。電源が止まれば核融合反応は維持できません。ITERのような長期・大規模プロジェクトでは、たった一つの設計ミスが核融合エネルギー実現の時間軸を左右しかねないという責任があることも常に自覚し、モノづくりに誇りを持って向き合っています。

「HITACHI」の社名が刻まれた
核融合炉を見る日をめざして。

核融合反応そのものを研究していた学生時代とは異なり、現在は核融合技術の開発をモノづくりの立場からサポートするという立場にあります。お客さまには研究者や技術者が多く、一緒に開発を進めていく中で最先端の知見に日常的に触れられる環境は、好奇心旺盛な自分にとっては大きな魅力です。また理論と実践、研究者とモノづくり現場の橋渡しを担うことで視野が広がりました。

核融合はまだ研究から実証の段階ですが、将来、世界各国で「HITACHI」の社名が刻まれた核融合炉が脱炭素エネルギーを生み出す姿を見ることが私の目標です。その実現に向け、ITERだけでなく、国内外で活発化している原型炉(※4)やスタートアップのプロジェクトに貢献しながら、核融合機器に関する実績を積み重ねていきたいと考えています。

世界とつながり、挑戦できることが
日立というフィールドの魅力。

設計業務では核融合の専門性に加えて幅広い知識が求められます。設計部内だけでなく、製造部や品質保証部、研究所などの専門家に教えを請う機会も多いのですが、皆さん「聞き上手」な方々ばかりで助けられています。自分のような若手の質問にも真摯(しんし)に向き合ってくれる文化があり、臆せずに質問して成長につなげることができています。

また、挑戦できる環境と世界とつながるチャンスがあり、核融合・加速器・超伝導、さらにはAIまで、専門知識を持つ方々と連携し、道を切り開いていくことができるのも日立の魅力です。

今後、開発競争が加速していく核融合の分野において、モノづくりだけでなくITやOTの領域にも強みがあり、最終的に制御まで含めたトータルな核融合システムを担える日立には、脱炭素に向けた社会実装への大きな貢献が期待されています。自分の専門を生かして社会課題の解決に挑みたい人、世界規模のプロジェクトに関わりたい人にとって、ここは魅力的な舞台と言えるでしょう。

(※1)軽い原子核同士が結びついてより重い原子核になるときに大きなエネルギーを放出する現象。太陽のエネルギー源でもある。核融合反応を人工的に起こすには、重水素や三重水素などの燃料を超高温に加熱してプラズマ状態にし、原子核同士を高速で衝突させる。

(※2)核融合反応を維持するため、磁場で閉じ込めた核融合プラズマを加熱するのに用いる装置。NBIはNeutral Beam Injectionの略。1MV級の高電圧電源を用いて水素イオン等を加速し、中性粒子に変えてプラズマ内部に打ち込む役割を担う。プラズマに入った粒子は再び電離して周囲にエネルギーを与え、プラズマを1億℃以上に加熱する。

(※3)イタリアのパドバにある核融合研究機関「Consorzio RFX」内にある、NBTF (Neutral Beam Test Facility) 。ITERで使用するNBIの性能実証を行う、世界で唯一の試験施設。

(※4)実験炉と商用炉の中間に位置づけられる装置。実験炉における技術的成果を基に実際に発電を行い、大型化に向けての技術的課題の抽出や経済性の見通しを得ることなどを目的につくられる。


My day off

ランニングと料理を息抜きに

休日は趣味のランニングに励んでおり、フルマラソンも何度か走っています。毎年恒例の社内駅伝大会では、50~60チームが参加する中で2年連続入賞しているので、次こそは優勝をめざします。
料理は結果がわかりやすく、自分と家族の幸せに直接フィードバックされるところが魅力です。仕事では効率が重視されますが、料理では「これを入れたらどうなるか」と、無駄と思えるような実験を楽しんでいます。時には実験失敗もありますが……。

核融合・加速器推進センタ / NBI設計グループ 田中 遥暁さん

2023年、東京大学博士課程を修了し、日立製作所に入社。国際熱核融合炉ITERプロジェクトにおける中性粒子ビーム入射(NBI)装置の電源の設計、開発を担当。2024年からはITER用NBI試験施設(NBTF)向けの電源保護機器の設計開発にも携わり、同年3月には現地イタリアの研究所で設計報告会に参加し試験結果を報告した。2025年からは核融合原型炉関係のプロジェクトにも参画。社内・国内サプライヤーと協力しながら、電気・構造材料の提案や試験・製作方法の管理等を行っている。