こくみん共済 coop「Risk Simulator for Insurance」導入事例

【後編】データのスコア化で引受審査の高度化へ

画像1: こくみん共済 coop「Risk Simulator for Insurance」導入事例 【後編】データのスコア化で引受審査の高度化へ

2026年8月25日

Web完結型新商品「こくみん共済 あっと」を支える新たな引受審査の仕組みとして採用された、日立の「Risk Simulator for Insurance」。その真価を引き出すには、全国労働者共済生活協同組合連合会(以下、こくみん共済 coop)の引受審査の考え方や質問項目を踏まえた綿密な事前検証が不可欠だった。半年以上にわたる検証を経て本番稼働に至った取り組みは、データを起点とする審査高度化の可能性を広げ始めている。


実績データで見極めた実務適用への手応え

「Risk Simulator for Insurance」(以下、Risk Simulator)の導入に向けてまず取り組んだのが、こくみん共済 coopの実務に耐え得る性能が発揮できるかを見極める検証だ。日立が構築した予測モデルに、同会の過去の実績データを投入し、従来の審査結果とRisk Simulatorを活用した新たな引受基準による判定結果がどの程度整合するかを確認していった。

 

例えば従来の基準で引受可能と判断していた症状・疾病については、Risk Simulatorでも問題のない水準のスコアが示されるかを確認した。一方、謝絶対象としていたケースについては、高いリスクが示されるかを検証。さらに、従来基準とRisk Simulatorの判定が一致しない中間的な結果については一件一件確認し、こくみん共済 coopの引受の考え方と照らし合わせながらきめ細かく調整。こうした検証は分析だけでも3カ月程度を要し、判定結果の個別精査も含めると半年以上に及んだ。

 

検証を通じて実用面での手応えが得られた一方で、従来の申込内容を前提とした検証結果を、新商品の質問項目でも再現できるかという課題もあった。Webサイト上で組合員に迷わず正しく告知してもらうには、質問項目だけでなく画面上での尋ね方や見せ方といったUI設計も重要になるためだ。Risk Simulatorの検証や質問項目の設計に携わったこくみん共済 coopの阿部 泰央氏は「従来と同じように必要な告知内容を取得できなければ、判定にずれが生じます。そのため、質問内容や聞き方を細かく調整する必要がありました」と説明する。

 

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新たな引受審査の仕組みが可能にした最短翌営業日回答

2026年5月7日、新商品「こくみん共済 あっと」の提供がスタート。併せて本番稼働した新たな審査基盤では、Web上で取得した告知内容をRisk Simulatorで評価してスコア化し、その結果を引受判断へ活用する新たな仕組みが動き始めた。

 

事前検証と質問項目の設計を経て作り込まれた仕組みは、本番稼働後、申込みから判定までの業務の流れを大きく変えている。「日立さんとの丁寧なすり合わせの結果、業務フロー自体もシームレスなものを作ることができました。人を介さずスムーズに流れ、組合員の方に直ちに結果が出るという点は、これまでの業務の進め方を考えると画期的です」と手応えを語るのは、質問項目の検討に関わり、現在はこくみん共済 coopで新商品を担当する根倉 未衣氏だ。実際、本番稼働後に一定の個別対応を想定していた事務部門からも、そうした手当てがほとんど必要ない状況に驚きの声が上がっているという。

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なお、既存商品や従来型の業務は現在も残っているため、新たな審査手法による業務効率化や省力化の効果を単純に示すことはできない。それでも、引受審査業務に関しては新商品に対応する要員を増やさずに済んでいるという。また、回答リードタイムの面でも変化は大きい。従来は必要に応じて追加告知書を郵送し、記入後に返送してもらう必要があったため、判断まで1カ月程度の時間を要することもあったが、新たな仕組みでは最短で翌営業日に回答できるようになった。

デジタル技術が広げる商品・サービスの可能性

新たな引受審査の本番稼働は仕組みを導入して終わりではなく、運用を通じて引受審査を継続的に見直していく出発点でもある。その見通しについて、「引受の標準化は一定程度達成できたのではないかと考えています。今後データが積み上がってきたら、質問項目のブラッシュアップや加入と給付をひも付けた分析にも活用できるはずです」と阿部氏。さらにこくみん共済 coopでは、この仕組みを他の生命系の共済商品へ水平展開することも検討していくという。

 

こうした展望の背景にあるのは、Risk Simulatorを核とする引受審査の仕組みによって、Web上の告知内容や判定結果などをデジタルデータとして蓄積できるようになったことだ。紙を前提とした従来の手続きでは残しにくかった粒度の細かいデータが、今後の質問項目の設計や審査精度の検証を支える基盤となる。

 

そしてそれは、こくみん共済 coopらしいAI活用に向けた第一歩でもある。共済業務の知見とデジタル技術を組み合わせ、業務や組合員接点の高度化につなげていくという意味で、この取り組みはデータとドメインナレッジをAI活用へつなげる日立の次世代ソリューション群「HMAX*」のコンセプトにも通じるものだ。

 

*HMAX by Hitachiは、AIで社会インフラを革新する次世代ソリューション群です。

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AIやデータの活用について、効率化にとどまらず組合員とのコミュニケーションに役立てられればと期待を寄せる三羽氏は「引受審査も時代に合わせて変えていく必要があります。こちらも勉強しながら、商品・サービスの仕組みと運用のアップデートを重ねていきたいですね」と今後を見据える。Web完結型商品の開発を機に始まり、本番稼働を経て実務に大きな変革をもたらしつつある引受審査への挑戦。これからも日立はこくみん共済 coopとの協創を通じて、組合員にとって分かりやすく公平な共済事業を支えるデジタル技術の可能性を追求していく。

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三羽 克洋

 

こくみん共済 coop

共済開発部 部長

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根倉 未衣

 

こくみん共済 coop

共済開発部 生命共済課 課長補佐

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阿部 泰央

 

こくみん共済 coop

共済開発部 生命共済課

こくみん共済 coop

[所在地]東京都渋谷区代々木2-12-10
[設 立]1957年9月29日
[常勤役職員数]3,587名(2025年5月末現在)
[事業内容]消費生活協同組合法に基づき、共済事業を担う協同組合。各種共済の元受事業、受託事業などを展開

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