PLEDGESを通じて、持続可能な事業成長と社会への価値提供をめざす
ロレーナ・デッラジョヴァンナ
執行役専務
Chief Sustainability Officer兼CHRO兼CDEIO

世界が急速な変化を遂げている中、その変化に対応するために必要なイノベーション、レジリエンス、成長の重要なドライバーとなるのがサステナビリティです。
日立は、優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献することを使命とし、社会イノベーション事業と115年にわたって蓄積してきた専門性を駆使して、世界のさまざまな課題解決に取り組んでいます。
2025年には、こうした取り組みをさらに強化するため、新たなサステナビリティの枠組みとして「PLEDGES」を策定しました。
PLEDGESは、グループ一丸で取り組む変革の起爆剤となる、より持続可能な未来を実現するための包括的なサステナビリティ戦略です。
未来に向けた変革
PLEDGESは、事業の垣根を超えるさまざまな取り組みを統合することで将来にわたって競争力を高め、お客さまや地域社会、そして地球にポジティブなインパクトをもたらし、日立の持続的な成長のための方向性を示すものです。サステナブル経営を中核に据えた新経営計画「Inspire 2027」とも整合しています。
現在のみならず、次の世代も見据えた中長期的な視点で社会課題に対応するためには、まず適切な指針が必要です。PLEDGESの策定にあたっては、日立の事業・社会インパクトの分析・評価にはじまり、ステークホルダーとの対話および社会動向を把握したうえで、日立が進むべき方向性およびサステナビリティの取り組みの優先順位を明確化しました。PLEDGESは、Planet、Leadership、Empowerment、Diverse perspectives、Governance、Engagement、Sustainability for allという7つの戦略の柱で構成されており、戦略の柱ごとに、中長期的な価値創造とサステナブルな変革を見据えた目標を定めています。
戦略からインパクトへ
PLEDGESは、より持続可能な未来を実現するためのビジョンであり、グループ全体で実行を加速し、変化を起こすための仕組みです。このフレームワークを日立グループ全体に組み込むため、社内コミュニケーションの推進、組織全体のサステナビリティガバナンスの強化、役員報酬とPLEDGES目標の連動を進めています。また、各戦略の柱に即した具体的な取り組みも進めています。
1つ目の柱Planetでは、日立の環境ビジョンのもと、脱炭素、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブの実現に向けて、着実に取り組みを進めています。2025年度には、SBTi(Science Based Targets initiative)より、日立の 2050 年度へ向けた温室効果ガスの削減目標が、科学的根拠に基づいたネットゼロ目標(science-based net-zero target)として認定されました。また、CDP気候変動分野でA評価を獲得し、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)においては、削減貢献(Avoided emissions)に向けた日立の取り組みが、具体的な事例として紹介されています。今後も、環境長期目標の達成をめざし、グループ全体で取り組みを推進します。
Leadership、Empowerment、Diverse perspectivesの3つの柱は、人財こそが日立を成功へ導くカギであるという信念を表しています。事業戦略と連動した人財戦略に基づいた施策を実行し、情熱を持って変革をけん引する人財の確保・育成を進め、持続可能な成長を実現する職場風土の醸成に取り組んでいます。
具体的には、ビジネス創出を推進するリーダーの育成、従業員インセンティブの強化、個々のパフォーマンスの最大化に向けた取り組みに注力するとともに、組織・部門間が協力しあい、イノベーションが起こりやすいインクルーシブな職場づくりに取り組んでいます。
また、シナジーを加速させ、日立グループ全体で従業員に魅力的なキャリアと成長機会を提供するための強固な人財プラットフォームが必要です。
さらに、従業員のリスキリングとアップスキリングを通じたAIに関する専門性を強化することで、生産性の向上と業務効率化を図り、人財の流動性を高め、また、グローバル共通の人財関連の方針を策定することで協創を促進していきます。
サステナブルトランスフォーメーションを実現するためには、現状の殻を破り、何をどのように実行し、世の中にどのようなインパクトを与えるかをシステム思考で捉えることが重要です。
Governanceの戦略の柱では、組織基盤の強化に向けて、従業員とコントラクターの安全衛生を優先し、リスクマネジメントシステムの強化、倫理・コンプライアンスの徹底等に注力し、取り組んでいます。その一つの成果として、2025年には、誠実で透明性の高い企業倫理を実践していることが認められ、Ethisphere社より「World’s Most Ethical Companies®(世界で最も倫理的な企業)」の1社に選出されました。
また、Engagementの戦略の柱においては、ステークホルダーとのエンゲージメントを重視し、サステナブルサプライチェーンの強化や人権の尊重をバリューチェーン全体で推進しています。
7つ目の柱Sustainability for allは、前述の6つの柱における施策に基づき、社会イノベーション事業を加速させることで、真の持続的な価値を提供するというものです。「Inspire2027」でも掲げている、日立の揺るぎない信念である社会への価値提供を戦略として示している重要な柱です。
多様な事業を推進する日立は、例えば医療ソリューションやセキュリティ技術を通じて、人々の健康と安全を守ります。また、交通分野ではより良い移動に貢献し、さらにサステナブルなインフラや再生可能エネルギーソリューションを通じて、環境負荷の少ないレジリエントな地域社会の構築へ貢献します。

Nextに向けて
日立は、いつの時代もサステナビリティを事業の根幹に位置付けてきました。今もなお、その信念を受け継ぎ、PLEDGESを通じてさらなる進化をめざしています。また、私たちのイノベーション精神とドメインナレッジ、そしてAI活用技術を掛け合わせることで、事業を強化し、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。日立グループ28万人の多様な従業員が力を発揮することで、さまざまな形でポジティブなインパクトをもたらすことができると確信しています。同時に、かつてないほど複雑化する社会課題に対して、一人、一社、あるいは一国の力だけでは解決しきれず、コラボレーションが重要なカギであると考えています。
だからこそ日立は、同じ想いと目的を共有するパートナーとの連携を強化し、力を合わせて社会の発展、Sustainabilityfor allの実現に向けて取り組んでいます。すべての人が大事な役割を担っており、私たち日立は、多様なステークホルダーの皆さまと一緒にPLEDGESの取り組みを通じて、よりサステナブル、インクルーシブ、レジリエントな未来の実現に向けて、前進してまいります。
執行役専務
Chief Sustainability Officer兼CHRO兼CDEIO
ロレーナ・デッラジョヴァンナ