Physical AI Day 【General Session 01】
Physical AI Day 【General Session 01】
2026年8月26日
労働力不足などを背景にフィジカルAIが注目を集める中、日立製作所は2026年5月20日にフィジカルAIがもたらす変革や活用について考える「Hitachi Physical AI Day」を開催。多彩なトークセッションと、ロボットなどの実際の動きが体感できる展示は多くの来場者を集めた。
トークセッションでは、社会課題とその解決へのフィジカルAIの活用について、お客さま、パートナーと議論し展望するGeneral Sessionが行われた。General Session 01では、冒頭、日立製作所執行役副社長の阿部 淳から挨拶とともに、グーグル・クラウド・ジャパン代表取締役社長、三上智子氏との対話形式のメッセージ映像が紹介された。続くトークセッションでは、日本マイクロソフト株式会社 代表取締役社長の津坂美樹氏をゲストに迎え、日立製作所 執行役常務 デジタルシステム&サービスセクター AI&ソフトウェアサービスビジネスユニットCEOの細矢良智とフィジカルAIの活用が社会インフラにもたらす未来について語り合った。その模様を2回にわたってお届けする。
トークセッションに先立ち、グーグル・クラウド・ジャパン代表取締役社長、三上智子氏と日立製作所執行役副社長の阿部 淳によるメッセージ映像を紹介。
阿部は、AIは単なるITの進化ではなく、企業の技術、業務、人財、オペレーションそのものを変える転換点であると述べ、中でもフィジカルAIは、日本の製造業が培ってきたハードウェア基盤に「知性」をのせるものであり、大きな武器になり得るとの期待を示しました。
(左)日立製作所 執行役副社長 阿部 淳 (右)グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 日本代表 三上 智子氏
三上氏は、AIエージェントが登場したことで、AIはこれまでのような個人利用やPoCが中心の「試すもの」から、「業務や事業に組み込むもの」へと確実に変わりつつあると指摘。また、日立グループが担うミッションクリティカルな領域にAIを組み込む上で考慮すべき点について、「目的設計が必要」で、業務を深く理解したアプリケーション、ハイブリッドクラウドの実行環境、セキュリティを含めた設計が重要であり、「現場に適した形でAIを動かすには、日立が持つ業務の知見が大きな意味を持つ。日立には社会インフラを実装してきた経験、OTとITをつなぐ力があり、そこにAIを組み合わせれば強みが発揮できる」と期待を寄せられました。
阿部は、「日立は現在、AIファクトリーの取り組みを進めており、さまざまなパートナーと連携しながら、GlobalLogicを含めた日立のケイパビリティやセキュリティを掛け合わせて成果を出していきたい。日本の製造業が培ってきたビジネスプロセスとフィジカルAIは非常に相性がよく、作業指示を人からAIエージェント、ロボットへと拡張していくことが現実的なフィジカルAIの姿だが、その価値はデータで決まる。イベント全体でそのことを説明する」と述べ、メッセージを締めくくりました。
細矢
本日は多くの皆さまにお申し込みいただき、フィジカルAIを中心とした未来への期待の高さを強く感じています。
私は日立に入社以来、官公庁や自治体をはじめ、多くのお客さまのミッションクリティカルなシステム、誤りや停止がゆるされず、すなわち可用性・信頼性・耐障害性などの要求水準が高いシステムの構築・運用に携わってきました。また、長年にわたって大規模検索の高度化や高速化などのルールベースや最適化といったAI技術にも取り組んできました。
それらの経験をふまえると、現在、社会インフラが迎えようとしている限界に関して強い危機感を覚えます。2040年には、日本の社会インフラの大半で老朽化が深刻化するとともに、保守・運用の担い手が1,100万人も不足すると予測されています。さらに、2050年には生産年齢人口が2020年代より約3割減少し、人口の約4割が高齢者となります。
この社会インフラの限界を救う可能性を秘めているのがAIです。AIには、生産性向上や業務効率化だけでなく、技能継承や競争力強化への貢献も期待されています。なかでも重要なのが、AIエージェントとフィジカルAIです。この二つのトレンドが重なることで100兆円以上の市場が生まれると日立は見ています。
先行するAIエージェントは、ソフトウェア開発やデジタルマーケティングなどのさまざまな分野で、AI駆動型の社会を支える中核技術として急速に普及しています。一方で、AIが扱うデータは、テキストや画像、動画といったデジタル情報から、物理法則が支配する現実世界へと広がりつつあります。これがフィジカルAIです。ものづくりでのロボット活用や物流倉庫における仕分けの自動化など、多様なユースケースがすでに生まれています。
フィジカルAIの勘所は三つあります。第一に、製品と技術です。日立は、116年にもおよび社会インフラを支え続けてきました。AIを実世界に浸透させるには、安全を最優先する制御技術と高品質な製品が必要です。第二に、ドメインナレッジです。止まることが許されない社会インフラにおいてAIを現場の文脈に合わせて正しく動かすには、業務や現場を理解した知見が欠かせません。第三に、AIエコシステムです。日立には、品質に厳しい自社グループを最初のお客さまとして技術を徹底的に使い倒す「カスタマーゼロ」と呼ぶ取り組みがあります。不足する部分はパートナーとの連携で補完し、日進月歩のAI技術を実践の場で磨き続けています。
日立によるフィジカルAIの社会実装の土台にあるのが、10年にわたって現場で愚直に継続してきたデータを可視化する取り組み、Lumadaです。IoT活用のLumada1.0にはじまり、デジタルサービスを拡大したLumada2.0と進化し、現在のLumada3.0はデータとAIを掛け合わせてデジタルサービスの付加価値を最大化します。それによって生み出した「デジタライズドアセット」から稼働データを収集し、日立のドメインナレッジで強化したAIで分析することで、経営課題や社会課題を解決する日立独自のデジタルサービス、HMAXを提供します。これが、Lumada3.0がめざす事業の基本的なモデルです。このサイクルを拡大・加速するのがフィジカルAIとAIエージェントです。
Lumada3.0のデジタルサービスの代表例であるHMAXは、「AIで社会インフラを革新する次世代ソリューション群」であり、フィジカルAIは、HMAXを通じた社会インフラのデジタル革新のスピードとスケールを一段押し上げています。日立は、独自の強みを生かしたデジタルサービスとして、電力系統の安定化を支援するHMAX Energy、鉄道運行の効率化を進めるHMAX Mobility、熟練技能を自律的に進化させながら生産性向上をめざすHMAX Industryなどの実証と顧客提供を進めています。
HMAXはローンチ初年度から事業規模3,000億円、マージン20%超のインパクトを達成しています。日立の長期ビジョンを牽引する存在として、今後も成長を続けていきます。
日立は、9月3日(木)と4日(金)の2日間、日立グループ最大規模のイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPAN」を東京国際フォーラムで開催します。詳細・お申し込みは下記バナーから公式サイトをご参照ください。