INTERVIEW
日立製作所・KDDIプレイスの構想から運営、現場の取り組みまで。
プロジェクトに携わった関係者へのインタビューを通して、企画に込めた想いや挑戦の裏側をひもときます。

竹内 昌之
MASAYUKI TAKEUCHI
日立製作所
グローバルブランドコミュニケーション本部長
パートナリングの強化が
大きな成果
万博で深まった「絆」を
この先の未来へ
今回の万博を一言で表すと「絆」です。大屋根リングのように、いろいろなバックグランドを持った方たちがひとつになろうというところから始まった万博であり、他の協賛者や社内関係者も含めて絆が深まったイベントだったと思います。社員にとっては、普段の業務ではお会いできない人とも万博を通じて関係性を深めることができました。現場では協賛者の方々と、あたかも同じ組織にいるかのように一緒に働くことができる貴重な機会だったと思います。万博を通してパートナリングを強化できたことは大きな成果です。これだけ多くの人々が携わる万博は、会社としても個人としても貴重な経験であり、成長につながると思います。この万博を契機に対話が始まり、絆を深めた企業の方々や多くの方々とともに、持続可能な未来社会の実現に向けて、新たな取り組みを進めていきたいです。

伊藤 昌広
MASAHIRO ITO
グローバルブランドコミュニケーション本部
日本担当コーポレートコミュニケーション部長
兼 大阪・関西万博推進プロジェクト
双方の強みを連携させて
新たな境地を模索する
今回は日立グループにとって初めて他社との共同展示であり、KDDIさまとタッグを組むことが決定してからは、他の協賛企業よりも先行して、コンセプトを詰めていく作業に入りました。KDDIさまの事業は、携帯電話事業を軸としたコンシューマーをターゲットにしている領域。日立製作所の事業はデジタルを活用したインフラ事業領域。BtoCとBtoBとターゲットも異なります。、日立は一般の消費者と接点が限られています。今回、「未来の都市」のなかでSociety 5.0の未来都市を考えるときに、市民参加型社会というのが重要な要素でしたので、KDDIメンバーのアイデアや意見がとても参考になりました。生活者の意思を反映できる未来の社会とは。そして、それを我々の事業領域として、どのようなインフラにつなげていけばいいのか。同じ課題へのアプローチであっても、視点が異なる相手から出されるソリューションは、自社だけでは想定できなかった内容もあるかもしれません。新たな価値を創出するためにも、お互いに被らない強みがある会社同士だったので、勉強になることは多かったと思います。また、それぞれの企業が背負っているものやめざす方向は、2社間でも異なります。今回の12者と博覧会協会でつくるパビリオンのようにその数が多くなれば多くなるほど、合意形成が難しくなります。事前準備、企画、開発、運営など、さまざまな現場ごとに難しさはあったと思いますが、この協創で得たものは日立製作所が今後のビジネスを進めるうえで大きな財産になったはずです。

沖田 英樹
HIDEKI OKITA
研究開発グループ
未来社会プロジェクト サブリーダ
生活者の視点や意見が
大きな財産に
来館者が前のめりになって、未来を選択している姿を見られたのは、このプロジェクトに関われて本当によかったと感じました。ミライシアターの投票結果は、毎回変わります。ヘルスケアシティのときもあれば、グリーンシティのときもありました。一度、来館者120 人のうち50人くらいが高校生だったとき、環境への関心の高さから設問1でグリーンシティが選択されるかなと想像していたのですが、半数以上がヘルスケアシティを選んでいました。部活動で体を使ったり、美容が気になったり、何が正解というものではなく、ひとりひとりが幸せな未来を考えるきっかけになっていたと思います。生活者視点でSociety 5.0の未来社会を考えた展示でしたが、これは我々が今後、AIデジタルを活用した事業をやっていくうえでも、そういった未来社会がくるから、この技術やサービスが必要だと説明できる。携わったメンバーが、未来をイメージしながら普段の事業に取り組めるというのは、日立製作所にとっても大きな成果になったと思います。

福丸 諒
RYO FUKUMARU
研究開発グループ
Digital Innovation R&D
デザインセンタ UXデザイン部 主任デザイナー
技術を展示するのではなく
生活者の目線から
未来社会を考えてもらう機会に
企画の初期段階では、日立製作所とKDDI様の技術展示という構想からスタートし、両社の推し技術をアピールすることにこだわっていました。あるとき、「未来の都市」のクリエイティブディレクターである古見修一氏から、万博でやるべきことは、企業側から来館者へ「これが未来の技術だ!」と押し付けるのではなく、違うやり方があるのではないか。そんなアドバイスをいただいて、来館者が「あるかもしれない多元的な未来」を想像するきっかけづくりをしようという方向性に変わりました。そこから我々の展示のコンセプト「未来は自分たちで変えられる」が誕生したのです。コンセプトが決まってからは、特定技術をアピールする手法は避けるようにしました。例えば、日立製作所のモビリティやエネルギーといった主力事業領域がありますが、みなさんが日ごろからそのことを特別に意識して生きているわけではない。毎日における生活者の活動が主体であって、それを実現するためにモビリティやエネルギーのインフラがある。まずは、Society 5.0における未来都市の生活像から表現して、その背景となるコンテンツにインフラの技術というものに対する関心や興味が向かうようにしました。この視点の転換で、その先にいる生活者にとって、これまで作ってきたシステムやサービスが、どのような価値があり、どのような変化をもたらすかという視座を得たのは、大きな成果だと思いますね。

小嶋 延直
NOBUNAO KOJIMA
グローバルブランドコミュニケーション本部
日本担当コーポレートコミュニケーション部
宣伝グループ 部長代理
兼 大阪・関西万博推進プロジェクト
トライ&エラーで日々成長した184日間
現場の運営は試行錯誤を重ねて改善
会期中は、来館者対応やトラブルへの対応、映像が止まってしまった場合に次の回を中止するかどうかの判断など、現場では運営責任者として日々、即断即決が求められました。また、展示エリアでお客さまの流れやスタッフの動きなど、運営が円滑に行われているかを確認することも日々の仕事でした。運営における大きな変更は、シアターに予約なしで入れる当日列を取り入れたことです。「未来の都市」に入ってくるのは20分ごとに300人。シアターは同じく20分ごとに上演され、入れるキャパシティは120人でしたが歩留まりの関係で毎回満員にはなりません。時間帯によっては夜は50人、朝一番は10人くらいしかいない日もありました。最初は12人だけを対象に予約なしを受け入れる運用を開始し、あまり対外的には告知せず、来館された方に個別に声をかける形で対応しました。日々現場を見ること、対話を重ねることで、少しずつシアターの体験人数を増やし最終的には立ち見を含めて160人くらいの回もありました。うまくいくか分かりませんでしたが、トライ&エラーでとりあえずやってみる。失敗したら自分たちの中でブラッシュアップしていくという日々がスタッフを含めて現場にいる関係者の成長にもつながったと思います。

安井 智美
TOMOMI YASUI
グルーバルブランドコミュニケーション本部
日本担当コーポレートコミュニケーション部
宣伝グループ 主任
兼 大阪・関西万博推進プロジェクト
新たなSNSの
プロモーションが成功
前回、日立が協賛した愛・地球博ではSNSが普及していなかったので、Xを使ったプロモーションは今回の万博が初めての試みでした。5月の初旬くらいから、日立製作所の万博専用アカウントをつくって情報発信を始めました。日々の投稿を分析してどのような投稿が反響が良いのか、インプレッションやいいねの数を見ながら次の投稿を考えていきました。「未来の都市」は西ゲートからも遠く、来場者が目的を持ってこなければならない場所にあったので、私は会場の西側が今何をしているのかをメインに発信をするように心がけていました。できるだけ今のリアルな情報が伝わるように、エリアの動きをリアルタイムで届けることを意識していました。私が投稿した中では、未来の都市の前に設置されていたミャクミャク像の後ろから花火を撮った写真が大きな反響をよびました。次の日からその場所にたくさんの人が来ていたので、未来の都市への周知および集客にもつながって、これは自分の成果の1つだなと思えて嬉しかったです。現場には期間限定で運営に入るサポートメンバーがいましたが、彼らにもXでの投稿をお願いしていました。1日のうちの何時間か会場内を歩いて、それぞれの目線で面白いものを見つけて取材してもらいました。万博グルメやイベント、グッズ紹介、来館者へのインタビューなど、さまざまな切り口で情報発信ができたと思います。

齋藤 宣之
NOBUYUKI SAITO
デジタルシステム&サービス統括本部
社会イノベーション事業統括本部 シニアディレクター
先入観に捉われない
アプローチ
事業づくりはこれまでの先入観に捉われない、多様で新しいアプローチがあるということを学びました。その過程で大学や高校などの教育関係の人とお話しする機会もいただいたのですが、真の市民参加型社会をつくるうえで教育や人財育成まで目配りをする事が大事であると改めて認識しました。EXPOスクールキャラバンのような取組みも含めて色々なものが積み重なり、市民参加指向の新しい事業創りが実現するということを勉強させてもらいました。
今まで「事業をつくるならこの相手」といったように、ステレオタイプで考えていた相手だけでは到底足りないので、これまでの事業検討ではお付き合いを考えなかったさまざまな方々との会話が大事であるという気づきがありました。さらに社内を巻き込んで、強いものを埋め込んで、事業の旗を立てていくのはもちろんですが、先入観にとらわれず、未来に思いをもった方々とのコミュニケーションから始める最初のきっかけづくりの重要性を今回の万博で強く実感しました。こういった機会が今までなかったので、貴重な経験を得られたことに個人的にも感謝しています。

久保田 晶子
AKIKO KUBOTA
グローバル渉外統括本部
産業政策本部 渉外戦略企画部
部長代理
万博を通じた国内外の
政府関係機関とのネットワーキング
「未来の都市」には石破首相(当時)をはじめとして、多くの国内外の政府要人の方々にお越しいただきました。
「未来の都市」が一社単独ではなく12者共同で未来の姿を描いているのと同様に、日立も多様なステークホルダーとの協創によって社会イノベーション事業を進め、日本の国家戦略であるSociety 5.0の実現に繋げていくという企業姿勢をお伝えすることができたと思います。
「未来の都市」以外でも、万博会場内の海外パビリオンで開催されたイベントへの協力や、万博に伴い来日した海外要人との大阪や東京での面談機会も頻繁にありました。いずれも日立グループのグローバルな事業部門と連携しながら対応し、政府機関との関係構築の貴重な機会となりました。

井上 泰孝
YASUTAKA INOUE
営業統括本部
部長代理
展示による
事業化への手応え
日立製作所は長期的な視点でビジネスを捉え、展示でもデジタルを活用した未来像を描いている点から、ケイパビリティにおいて信頼できる会社だと感じていただけたのではないかと思います。展示を通して他社との関係強化につながったほか、普段は接点のない部門の方々ともつながることができ、コンタクトの幅が広がりました。
今回の万博で現地勤務した社員からは普段の業務とは異なる貴重な学びになったという声が多く聞かれました。万博での活動は、今後One Hitachiで協創を進めていける人財を育成する場になったと考えています。また、市民参加型社会の実装を、プロジェクトの大きな使命として進めています。現在は『未来の都市』の協賛者を中心に、協創の議論が進んでいます。事業化するにはハードルが高いものではありますが、2027年を目標に実現を目指しております。現在は、ビジネスモデルや実装方法について検討を進めており、今後は内容を詰め、確かな成果に繋げていきたいと考えています。