2026年2月24日
環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に向け「HMAX for Buildings:BuilMirai」において、as a Service型BuilMirai(ビルミライ)の提供を開始した。本サービスは日立の持つOT(Operational Technology)技術・ドメインナレッジと、GlobalLogicの持つアジャイル開発などデジタルエンジニアリングの強みが融合した、統合ビルマネジメントシステムである。各ビル内の設備とクラウドネイティブのプラットフォームがセキュアにつながることで、複数ビルを集約・横断したビル管理を実現するとともに、ビルやフロントラインワーカー、社会の変化に合わせた価値を提供する。
第一弾として、2025年10月から提供を開始した入退室管理サービスでは、操作性に優れたユーザーインタフェースと、就業人員の増減や設備の変更を想定した拡張性を備えることにより、顧客の業務効率改善に貢献する。
BuilMiraiはビルの価値向上に向け、サービスの継続的な拡充を図る。多様化する管理情報から必要な情報を選択できるダッシュボード機能や、常駐管理から集約管理への移行を支援するビル群管理機能、省エネルギー・ZEB(Net Zero Energy Building)化を支えるエネルギー管理機能を提供予定である。またAI(Artificial Intelligence)の活用により、ビル管理業務のさらなる効率化や自動化に取り組んでいく。
[1]as a Service型BuilMiraiが進化させるビルの価値
社会インフラ保守の現場では、急速な少子高齢化に伴う労働力不足と熟練技術者の減少により、人手依存による安全確保の限界が顕在化している。熟練技術者が持つ「匠の技」の喪失は、現場の安全リスクを高め、業務品質の維持を困難にする。この課題に対し、日立は、長年のドメイン知識と、映像と言語を統合理解するVLM(Vision Language Model)を融合し、転落につながるなどの危険行動を即座に検知・警告する機能を開発した。
本システムは、ウェアラブルカメラから得られる一人称視点の映像を、VLM内のVision Encoderにより数値ベクトルに変換する。これをプロンプトとともにLLM(Large Language Model)に入力してAIが即時に状況を言語化・理解し、危険要因や手順逸脱を検知した場合は、現場技術者のスマートフォンへ通知を行う。今後は幅広い業種の現場技術者の安全を確保できるよう開発を継続する。
[2]現場技術者向けAIソリューションのイメージ
標準型エレベーターの次世代モデル「アーバンエース HF Mirai(エイチエフ ミライ)」を2026年4月に発売する。本モデルは従来モデルで培ったデザイン性と機能を進化させ、スマートビル時代に対応する仕様をラインアップした。世界的なプロダクトデザイナー深澤直人氏監修の新デザインは、自然素材を思わせる木目調や石目調を取り入れ、建築空間との調和と高い意匠性を実現する。また、操作盤には視認性と情報量を高める12.1 inch液晶インジケーターを採用しており、ビル設備の遠隔監視や情報提供をリアルタイムで把握できるサポートツール「BUILLINK(ビルリンク)」と連携することも可能である。これにより、エレベーター利用者はニュースや天気予報などのさまざまなコンテンツを、管理者にはリアルタイムの運行状況やメンテナンス情報を分かりやすく提供する。
災害対策面では、従来は震度5弱程度の揺れまで自動仮復旧が可能であった「ヘリオスドライブ」の高度化により、震度6弱相当まで自動仮復旧を可能※)にするなど、災害時のレジリエンスを強化した。また、スマートフォン認証による非接触呼び出しやロボット連携など、DX(デジタルトランスフォーメーション)機能を充実させ、エレベーター利用におけるさまざまなシーンでの利便性を向上し、人やモノの円滑な移動を実現する。
環境面では、回生電力を再利用する回生コンバーターにより省エネルギー化を実現し、持続可能な都市づくりに貢献する。加えて、Lumada 3.0を体現するデジタルサービス「BuilMirai」と連携し、スマートビルの新たな価値を提供する。今後も新たな価値を創出し、都市と人の未来を支えていく。
※)設置する建物の構造や条件によって異なる。
[3]アーバンエース HF Miraiかご内(左)および液晶インジケーター表示コンテンツ(右)のイメージ
太陽光発電でEV(Electric Vehicle)・蓄電池を充電し、停電時にはEVからの給電や蓄電した電力でエレベーターを利用可能にするV2X(Vehicle to X)※1)システムを全国で初めて関電不動産開発株式会社の新築分譲マンション「シエリアシティ星田駅前」に導入※2)した。
本システム導入により、平常時は太陽光発電設備で発電した電力を、カーシェアリングサービスに使用するEVや蓄電池に充電することができる。また、満充電時には共用部照明に利用することで、電力使用量の削減にもつながる。
災害などで停電が発生した場合には、太陽光発電設備やEV、蓄電池からエレベーターや共用部の照明へ給電することで、階段での移動が困難な高層階へ昇降ができ、生活に欠かせない水や食料の運搬が可能となる。
日立は今後さまざまな設備との連携やEMS(Energy Management System)の付加により、再生可能エネルギーの活用をさらに進め、環境負荷を低減しながら脱炭素社会の実現に貢献し、持続可能な未来づくりに取り組んでいく。
※1)自動車とさまざまなモノとの接続や相互連携を行う技術の総称。エネルギー分野においては、電気自動車と、住宅やビル、電力網(グリッド)などをつなぎ、電力の相互供給を行うことを可能にするV2Xシステムの実用化が進められている。
※2)株式会社日立ビルシステムのエレベーターに公式に対応したV2Xシステムとして、全国初の導入事例である。
[4]シエリアシティ星田駅前(左)とV2Xシステム(右)の外観
日立はZEBプランナーとして、ZEB化をめざすビルオーナーなどへの支援を行っている。今回、日立と日立ビルシステムは、スズキ株式会社のGX(グリーントランスフォーメーション) への取り組みに貢献するべく、スズキが運営する静岡県浜松市の「スズキ歴史館」のZEB 化に向けたコンサルティングおよび改修工事を受注した。
このZEB 化プロジェクトでは、日立のLumadaソリューションである統合エネルギー・設備マネジメントサービス「EMilia(エミリア)」を導入し、「スズキ歴史館」での消費エネルギーを一元管理、見える化するとともに、ビル設備の省エネルギー改修工事を行う。具体的には、パッケージエアコンのエネルギー高効率化機種への更新、照明機器のLED(Light-emitting Diode)化、受変電設備の更新、太陽光発電パネルの設置を行うものであり、施工は日立ビルシステムが担当する。今回のZEB 化プロジェクトにより、スズキ歴史館はNearly ZEB の認証取得をめざしている。
[5]スズキ歴史館外観とZEB化設備の概要
中国市場およびグローバル市場での競争力向上のため、高級セグメント向け機械室あり乗用エレベーター「NCA」および機械室レス乗用エレベーター「NCA-MRL」を市場投入した。NCAおよびNCA-MRLは、エネルギー回生装置を従来機種比で90%小型化し、オプション仕様だったエネルギー回生機能を標準搭載することで、さらなるGXを進めた。また、モータ電源とブレーキ電源の制御回路を従来のコンタクター方式から電子化し、製品のDXを進めるとともに、産業機器における最高の安全等級であるSIL3(Safety Integrity Level 3)との両立を実現した。さらに、乗りかご上部に設置したTOF(Time of Flight)センサーによる物体検知機能とAI技術を組み合わせたAIスマートかごを搭載し、かご内およびホールの動向検出による運転効率の向上や、かご内の異常検知による安全性の向上を実現した。
このようにNCAおよびNCA-MRLはGX、DX、AX(AIトランスフォーメーション)を具現化し、顧客が求めるスマートビルの実現に貢献している。
[日立电梯(中国)有限公司]
[6]Green(GX)、Digital(DX)、 AI(AX)を具現化するNCAエレベーターの概要