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Hitachi Global

コネクティブインダストリーズ

インダストリアルプロダクツ&サービス

2026年2月24日

製造

1. 温度×時間センシングインクを用いた品質可視化ソリューション

 

2. 需要家マイクログリッド構築におけるグリッドフォーミングインバータの活用

 

3. トップランナー新基準対応の配電用変圧器 SuperトップランナーIII
 

4. 産業オートメーションを推進する新サーボシステム AD7シリーズ
 

5. 空気圧縮機更新でのCO2削減量をクレジット化する新サービス
 

6. ユニット形計器用変流器 CTUシリーズ
 

7. 最小必要有効落差3 mのマイクロ水力発電 日立エネルギー回収システム
 

8. 新型オイルフリースクロール圧縮機 Gシリーズ
 

9. 九州地方整備局 古賀坂排水機場 鋼板製コンクリートケーシング構造排水ポンプ設備の完成
 

10. UPS「UNIPARA」1,000-2,400 kVA機 縮退運転機能追加
 

11. 堅牢性に優れた小型ファンレス産業用コンピュータ
 

12. マルチポートEVチャージャGrid-eRouterのCHAdeMO認証取得
 

13. 西日本旅客鉄道 新疋田変電所納 回生電力貯蔵吸収装置B-CHOP
 

14. 顧客との距離を縮める保守コンシェルジュ
 

15. 天然ガス専焼ガスエンジン向け水素混焼ユニットの開発
 

16. 設備シェアリングとマイクログリッドを融合した複合型マネジメントモデルの構築
 

17. 保守関連問い合わせ対応における生成AIエージェントの導入
 

18. BIM/CIM×三次元流体解析によるダム放流デジタルツイン


1. 温度×時間センシングインクを用いた品質可視化ソリューション

株式会社日立産機システムは、温度×時間センシングインクおよびそれを活用した品質可視化ソリューションについて、本格的な事業化を見据えた有償サンプルの提供を開始している。ラベル印刷に使用して食品などに貼付するだけでサプライチェーン上での温度測定が可能なため、従来の温度ロガーなどの機器に比べて安価であり、電源不要かつ設置・確認が容易で回収も不要である。

食品や医薬品の品質は温度と時間の影響で刻々と変化するが、その履歴を一目で正確に把握するのは困難である。温度×時間センシングインクは、低温環境ではゆっくりと、高温環境では速く変色する特性を持ち、温度に対する経過時間の積算値で一定の色に変化する。このインクの色を専用のモバイルアプリで読み込むことで、ラベルが貼付された食品の出荷後の平均温度・積算温度(例:平均温度20℃で4日経過の場合は積算温度80)や熟し具合を算出することが可能である。本ソリューションの活用により青果物の食べ頃などの品質情報が可視化されることで、商品価値の向上や廃棄ロスの低減が期待される。

(株式会社日立産機システム)

[図1]温度×時間センシングインクの色変化、品質可視化ソリューションの概要 [1]温度×時間センシングインクの色変化、品質可視化ソリューションの概要

2. 需要家マイクログリッド構築におけるグリッドフォーミングインバータの活用

災害などによる電源喪失リスクや、遠隔地の設備維持への対策として、商用系統から電源を自立可能なMG(Micro Grid)が検討されている。工場などの需要家がMGを導入する場合、カーボンニュートラルの観点から再生可能エネルギーを主電源とし、蓄電システムを組み合わせて電力供給する方式が有力となる。

日立産機システムは、高低圧用のPCS(Power Conditioning System)に新たなグリッドフォーミング制御を搭載し、交流MGを構築できる技術として開発した。交流MGを支える電源は50 Hzまたは60 Hzの出力を所定の品質に維持するよう求められるが、新PCSは自律分散的にこれを実施し、交流での複数台並列使用が容易となる。この結果、電力需要や発電量の変化に合わせてPCSを増設するなど、柔軟なMG構築が可能となった。習志野事業所において直流-交流の併用MGの運用を3並列約50 kWの規模で開始し、直流給電に対応した各種製品との組み合わせを提案している。

(2025年4月運用開始)

(株式会社日立産機システム)

[図2]習志野事業所MGの外観例(左)と3並列構成のグリッドフォーミングインバータ(右) [2]習志野事業所MGの外観例(左)と3並列構成のグリッドフォーミングインバータ(右)

3. トップランナー新基準対応の配電用変圧器SuperトップランナーIII

日立産機システムは2026年度から改訂される変圧器のトップランナー基準、第三次判断基準「2026トップランナー変圧器」に適合した配電用変圧器として、油入変圧器とモールド変圧器の両タイプにおいて、最新モデル「SuperトップランナーIII」を2025年8月に発売した。

現在、国内で稼働中の変圧器の約56%が設置後20年以上経過しており、最新機種と比較してエネルギー損失が大きいものが多いため、更新が求められている。またエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)に基づく「トップランナー方式」では、対象機器ごとに基準値と目標年度を設定し、機器自体のエネルギー消費効率を向上する政策が推進されている。配電用変圧器も特定機器に指定されており、現在は2014年を目標年度とした第二次判断基準が適用されているが、2026年に第三次判断基準への移行が予定されている。これにより配電用変圧器は平均14.2%のエネルギー消費効率改善が求められる。

日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」に向け、変圧器の高効率化は重要な施策の一つである。SuperトップランナーIIIは高いエネルギー消費効率を実現することで、第三次判断基準をクリアする配電用変圧器として、機器更新時に使用者の省エネルギー対策をサポートし、電力コスト削減のみならず温室効果ガス排出削減に貢献する。

(株式会社日立産機システム)

[図3]SuperトップランナーIIIの油入変圧器(左)およびモールド変圧器(右)の外観 [3]SuperトップランナーIIIの油入変圧器(左)およびモールド変圧器(右)の外観

4. 産業オートメーションを推進する新サーボシステム AD7シリーズ

さまざまな産業における自動化や高効率化に伴って、サーボシステムにもより高い精度と応答性が求められるようになっている。AC(Alternating Current)サーボ「AD7シリーズ」は、こうした市場の要求に応える新型サーボアンプである。今回、200 V級50 Wから1.5 kW、100 V級50 Wから200 Wを製品化した。主な特長は以下のとおりである。

(1)新制御アルゴリズム採用による速度応答周波数の向上、および通信周期(EtherCAT)を高速化したことで、高い精度と高応答を実現し、よりきめ細かい動作が可能である(日立産機システム製現行機比)。
(2)上位装置とのインタフェースは、EtherCATとアナログ・パルスの両制御方式に標準対応し、制御対象モータは、ロータリー、リニア、DD(Direct Drive)モータのすべてに標準対応できるため、さまざまな装置および使用するモータが混在する装置ラインにおいて在庫・設計を効率化できる。
(3)導入時の初期設定やチューニングはパソコンに接続して簡単な操作で行えるようになり、セットアップ時間を短縮できる(日立産機システム製現行機比)。
(4)機能安全のSTO(Safe Torque Off)機能を向上した[EN/ISO 13849-1:2015 Cat.3 PL d、EN 61800-5-2:2017 SIL 2 (STO)からEN/ISO 13849-1:2023 Cat.3 PL e、EN 61800-5-2:2017 SIL 3(STO)に向上(規格取得中)]。

(2025年6月受注開始)

(株式会社日立産機システム)

 

[図4]新型サーボアンプAD7シリーズの外観 [4]新型サーボアンプAD7シリーズの外観

5. 空気圧縮機更新でのCO2削減量をクレジット化する新サービス

労働人口減少や脱炭素社会への対応が求められる中、製造業では製品販売に加え、データとAI(Artificial Intelligence)を活用したリカーリングビジネスへの転換が進んでいる。

日立産機システムでは、高効率な新型の空気圧縮機への更新によるCO2排出削減量をクレジット化し、得られた収益を顧客に還元する新サービスを開始する。活用するJ-クレジット制度では「ベースライン方式」と呼ばれる手法で削減量を算定しており、更新した設備の稼働に必要なエネルギーを更新前の設備で賄ったと仮定した場合と比較して、改善分についてクレジットとしての認証を受けることができる。空気圧縮機にはIoT(Internet of Things)機能が標準搭載され、日立産機システムが提供する設備監視サービス「FitLive」によるモニタリングが可能となり、CO2削減量を容易に把握できる。

高効率でCO2排出量の少ない製品を製造、販売し、得られた稼働データを活用することで新たな価値を提供する。日立産機システムは本サービスを通じて、製品運用時の性能を維持するため、購入後もメンテナンスやデジタルでサポートしながら、顧客と共にサステナブルな社会の実現に貢献する。

(株式会社日立産機システム)

[図5]J-クレジットを活用したリカーリングビジネスの概要 [5]J-クレジットを活用したリカーリングビジネスの概要

6. ユニット形計器用変流器 CTUシリーズ

ユニット形計器用変流器「CTUシリーズ」は、低圧回路の交流電流を計測するCT(Current Transformer:変流器)を樹脂ケースに収め、日立配線用遮断器・漏電遮断器の負荷側へ直接連結できる一体形CTである。CT二次を汎用的な5 A出力とすることで、日立配電監視システムH-NETのユニットをはじめ、一般的な電子式メータなどの計測機器との組み合わせに対応する。

従来の貫通形CTは、設置に必要なスペースが大きく、取り付け作業時に電線の湾曲加工を伴うため、配電盤を設計するうえでの制約となるだけでなく、製造現場での作業負担増加の要因となっていた。

CTUシリーズは、遮断器二次側に直接取り付ける構造を採用することで、貫通形CTと比較して少ないスペースでの設置を可能とし、配電盤の設計自由度の向上と省スペース化を実現する。また、電線を曲げてCTに貫通させる作業が不要となり、作業時間の短縮に加え、作業者の負担軽減に寄与する。

CTUシリーズは、250 AFの遮断器に連結するCTU-250から順次発売し、100 AF用、250 AF用、400 AF用、800 AF用の4機種をラインアップしていく計画である。

(株式会社日立産機システム)

[図6]ユニット形計器用変流器 CTU-250の外観 [6]ユニット形計器用変流器 CTU-250の外観

7. 最小必要有効落差3 mのマイクロ水力発電 日立エネルギー回収システム

エネルギー回収システムはビルの冷温水サイクルや工業用水の残有エネルギーを活用した発電システムである。今般、エネルギー回収システムの適用範囲拡大のため、低落差対応タイプを開発・発売した。

「もっと低い落差(圧力)でも発電したい」という市場要求を受けて低落差機種を開発し、シリーズ初となる斜流水車を採用することで、従来機種の1/3の必要落差(圧力)と、最小必要有効落差3 mを実現した。また、数値流体解析により発電効率を最大化できる最適運転条件を導出し、流量変動に対して水車コントローラによる可変速運転を行い、適切な発電機の選定に活用することで、広い範囲で高い発電効率を維持できる。

これにより従来機種では導入できない落差の小さい環境でも発電が可能となり、脱炭素・環境負荷低減に貢献することができる。今後は10 m以下の低落差領域で、さらなる発電容量拡大を目標に新製品開発に取り組んでいく。

(株式会社日立産機システム)

[図7]低落差対応エネルギー回収システムのイメージおよび選定図 [7]低落差対応エネルギー回収システムのイメージおよび選定図

8. 新型オイルフリースクロール圧縮機Gシリーズ

近年の高温環境下においては、暑さに強い圧縮機のニーズが高い。また、地球温暖化防止に向けた省エネルギー化も重要である。加えて、設置場所を自由に選択できるよう省スペースが求められるほか、省人化のためIoTのニーズも高い。

これらのニーズに対応するべく、オイルフリースクロール圧縮機「Gシリーズ(1.5 kW、2.2 kW、3.7 kW)」を発売した。本シリーズの最大の特長は、暑さに強い点である。新型圧縮機本体の搭載と筐体構造の改良により、従来機より5℃高い周囲温度45℃に対応した。さらに新制御の「ヒートセーフティーモード」により、最高50℃まで運転可能とした。省エネルギーの観点では、新制御の「ECOモード」、「低圧シフトモード」により消費電力を低減した。省スペースの観点では、吸気口を筐体左側面に集約し、右側面と背面を壁際に設置できる「2面壁ピタ設置」を可能とした。IoTの観点では、スマートデバイスアプリ経由で運転情報をクラウドサーバに送信して遠隔で確認できるほか、外部Modbus通信を標準搭載し、遠隔監視・遠隔操作の利便性を向上した。

(株式会社日立産機システム)

 

[図8]オイルフリースクロール圧縮機Gシリーズのパッケージ外観(左)および新型圧縮機本体内部構造(中央、右) [8]オイルフリースクロール圧縮機Gシリーズのパッケージ外観(左)および新型圧縮機本体内部構造(中央、右)

9. 九州地方整備局 古賀坂排水機場 鋼板製コンクリートケーシング構造排水ポンプ設備の完成

九州地方整備局古賀坂排水機場に、排水能力15m3/秒、吐出口径φ2,400 mmの大容量排水ポンプ1台を納入した。本排水機場は、福岡県久留米市の筑後川の支流である金丸川の流域治水を目的とし、筑後川左岸に設置されている。近年頻発する内水氾濫による浸水被害に対し、国・県・市の関係機関が連携し、ハードウェアとソフトウェアの両面から総合的な対策が検討された結果、ハードウェア面の対策として本ポンプの増設が計画されたものである。

組立品を輸送することが難しい大型ポンプのため、流路を形成する鋼板ケーシングを現地にて組み立て、コンクリートに埋設施工する構造として、排水運転時に発生する荷重に対して十分な構造強度を確保した。本埋設工事は2024年3月に竣工し、同年4月より運用を開始した。

株式会社日立インダストリアルプロダクツは、今後も河川氾濫による被害軽減を目的とする排水ポンプ設備をはじめとしたポンプ設備や治水システムを提供することで、国土強靭化に貢献していく。

(株式会社日立インダストリアルプロダクツ)

[図9]鋼板ケーシング3D(Three Dimensions)モデル配筋図 [9]鋼板ケーシング3D(Three Dimensions)モデル配筋図

10. UPS「UNIPARA」1,000-2,400 kVA機 縮退運転機能追加

近年、AI(Artificial Intelligence)やIoT(Internet of Things)などのデジタル技術の普及、多くの分野におけるクラウドサービスの利用拡大により、データセンターの大容量化が著しい。これに伴い、UPS(Uninterruptible Power System:無停電電源装置)の大容量化が進んでいるが、設備稼働初期の軽負荷状態における変換効率低下や、異常発生時に喪失するUPS電源の大容量化が課題となりつつある。

そこでUNIPARAの大規模データセンター向けUPSに対して、軽負荷時のUPS効率を改善する機能(エコユニットモード)と、異常発生した変換器を切り離して自動的に運転再開する機能(リカバリードライブモード)を開発した。これにより大容量データセンターの稼働初期から高効率運転を実現し、異常発生時の復旧待ち期間も給電可能な負荷率の場合にはUPS給電へ自動復帰することを可能とした。

(株式会社日立インダストリアルプロダクツ)

[図10]UNIPARA HIVERTER-UP2001iシリーズのエコユニットモード(左)とリカバリードライブモード(右) [10]UNIPARA HIVERTER-UP2001iシリーズのエコユニットモード(左)とリカバリードライブモード(右)

11. 堅牢性に優れた小型ファンレス産業用コンピュータ

産業用コンピュータHF-W200Eは、過酷な産業環境における安定稼働を追求した高信頼モデルである。ファンレス構造とSSD(Solid State Drive)採用により稼働部品を排除し、耐衝撃性能980 m/s²を実現することで、振動や衝撃に対する高い堅牢性を確保した。DC(Direct Current)24 V電源使用時で周囲温度0~60℃に対応し、筐体はA5サイズ相当のコンパクト設計で省スペース化に寄与する。

セキュリティ面ではCIS Benchmarks*、※)に準拠し、不要なサービスやポートの無効化、認証・アクセス制御の強化、暗号化通信の標準化を通じて攻撃対象領域を最小化し、制御システムの信頼性を維持する。

さらに、UL(Underwriters Laboratories)、CSA(Canadian Standards Association)、CE、UKCA(United Kingdom Conformity Assessed)、KC(Korea Certification)、CCC(China Compulsory Certification)、BSMI(Bureau of Standards, Metrology and Inspection)といった国際安全規格を取得し、輸出時の認証負担を軽減するとともに、海外拠点での迅速な導入を可能とした。これにより、グローバル市場で求められる安全性と信頼性を確保し、顧客の安心感を高める。

将来的にはソフトウェアPLC(Programmable Logic Controller)を搭載したIoT対応モデルの展開を視野に入れ、スマートファクトリー化や産業用制御システムの進化に柔軟に対応する構成を備えている。

(株式会社日立インダストリアルプロダクツ)

※)米国の非営利団体 Center for Internet Security, Inc.が策定した、ITシステムやソフトウェアのセキュリティ設定に関する国際的に認められたガイドライン。

[図11]A5サイズのコンパクトな小型ファンレス産業用コンピュータ [11]A5サイズのコンパクトな小型ファンレス産業用コンピュータ

12. マルチポートEVチャージャGrid-eRouterのCHAdeMO認証取得

EV(Electric Vehicle)を活用したソリューションに適したプロダクトとして、マルチポートEVチャージャ「Grid-eRouter」を開発・製品化し、国際標準規格CHAdeMO(Charge de Move)の最新プロトコルである2.0.2の認証を取得した。

マルチポートEVチャージャは、系統連系用のAC(Alternating Current)/DC変換器(500 kW)と、DC/DC変換器、EVへ電力供給する充電スタンドから構成される。充電スタンドは90 kW、50 kWおよび25 kWの3種類を準備し、総出力500 kW以内で充電スタンドの種類・台数を組み合わせることができる。これによりニーズに合わせた段階的な設備導入(充電スタンドの台数増加)やフレキシブルな出力容量変更が可能である。

今後は、V2X(Vehicle to X)※1)への対応や、日立インダストリアルプロダクツ土浦事業所において実証運用中のマルチコネクタ充電スタンドによる大規模EV充電システム※2)の知見を生かした充放電マネジメントの機能開発・認証取得を順次実施していく。

(株式会社日立インダストリアルプロダクツ)

※1)双方向電力融通による、車の蓄電エネルギーのさまざまなもの(X)への供給

[図12]マルチポートEVチャージャGrid-eRouterの外観と主な仕様 [12]マルチポートEVチャージャGrid-eRouterの外観と主な仕様

注:

※)認証取得予定。


13. 西日本旅客鉄道 新疋田変電所納 回生電力貯蔵吸収装置B-CHOP

西日本旅客鉄道株式会社北陸本線の新疋田変電所(以下、「当サイト」と記す。)に直流き電システム用電力貯蔵装置(B-CHOP)を納入した。当サイトは長い勾配があり列車負荷の大きい近江塩津~敦賀駅間に電力を供給しており、加えて1回線受電であるため、電力会社からの電源供給を失った際の直流き電の電圧低下が懸念されていた。

B-CHOPは、リチウムイオン蓄電池盤と、直流き電線-蓄電池間で電力を返還する変換基盤からなる。これまで他サイトに納入してきたB-CHOPは、回生失効の防止を主目的として車両の回生時に蓄電池への充電を行い、き電電圧低下時にそのエネルギーを放電する動作としていた。当サイトの特徴から、本機器にはこの通常動作に加えて、車両の回生、き電電圧低下のいずれも発生していないときは蓄電池の充電率を一定程度に保ち、また当サイトの受電の停止を検知して車両パンタ点電圧低下の救済を主眼とした動作モードに変更する機能を追加した。今回の追加機能を以て、受電設備の不要なバッテリーポストなど幅広い場所への適用をめざしていく。

(株式会社日立インダストリアルプロダクツ)

[図13]試験中のB-CHOPリチウムイオン蓄電池盤(左)および変換器盤(右) [13]試験中のB-CHOPリチウムイオン蓄電池盤(左)および変換器盤(右)

14. 顧客との距離を縮める保守コンシェルジュ

株式会社日立パワーソリューションズは、設備管理・保守の現場課題を解決するサービス「保守コンシェルジュ」を展開している。

従来の商流では情報伝達や見積根拠の不透明さ、専門人財不足など多くの課題があったが、本サービスはクラウド上で設備データやドキュメントを一元管理し、チャット機能で顧客と直接コミュニケーションを図ることで、迅速かつ的確な対応を実現する。設備台帳デジタル化や相互管理システムにより、担当交代時の情報継承や中長期計画の効率化にも有効である。単なるツール提供にとどまらず、パートナーとして顧客価値の向上に貢献する点が本サービスの特長である。今後はAI(Artificial Intelligence)やロボット連携などさらなる拡張を進め、日立グループ全体のシナジーを生かして、革新的な設備管理サービスの実現をめざす。

(株式会社日立パワーソリューションズ)

[図14]保守コンシェルジュサービスのイメージ [14]保守コンシェルジュサービスのイメージ

15. 天然ガス専焼ガスエンジン向け水素混焼ユニットの開発

2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、エネルギー供給分野の脱炭素化の手段として水素が注目されている。

こうした中、日立パワーソリューションズは、自社製ガスコージェネレーションシステム※1)を所有する既存および新規の顧客向けに、発電出力500 kW~1,300 kWの中小規模ガスコージェネレーションシステムに追設可能な水素混焼ユニットを開発し、実証試験を経て2025年7月から販売を開始した。

本ユニットを追加することで、天然ガス専焼のシステムに大幅な改造を加えることなく、水素を体積比20%まで混焼※2)できる機能を提供する。水素20 vol%混焼時には、天然ガス専焼時と比較し、年間約260 t※3)のCO₂削減が可能となり、環境負荷低減に寄与する。今後も水素の社会実装を見据え、技術開発を継続し、カーボンニュートラルの実現に貢献していく。

(株式会社日立パワーソリューションズ)

※1)ガスエンジンを用い、天然ガスから電力や熱など複数のエネルギーを同時に得るシステム。

※2)水素を体積比20%まで天然ガスと混合して燃焼する。

※3)発電出力1,271 kWのガスエンジン(J420 50 Hz)で年間8,000時間20 vol%水素混焼運転(発電出力1,144 kW)を行った場合のCO₂削減量(日立パワーソリューションズによる試算)。

[図15]天然ガス専焼コージェネレーションシステムへの水素混焼ユニットの追設イメージ [15]天然ガス専焼コージェネレーションシステムへの水素混焼ユニットの追設イメージ

16. 設備シェアリングとマイクログリッドを融合した複合型マネジメントモデルの構築

近年、設備管理の人財不足や脱炭素化対応が喫緊の課題となっている。日立製作所と日立パワーソリューションズは、茨城県ひたちなか市の工業エリアにおいて、これらの課題解決をめざす新たなファシリティとエネルギーの複合型マネジメントモデルを構築する。本モデルは、10事業者間での設備シェアリングによるファシリティマネジメントや運用効率化を通じて、設備管理を担う人財不足の課題解決に貢献し、EMS(Energy Management System)活用と再生可能エネルギーの調達により、エネルギー運用の最適化を図るものである。

エネルギーデータを統合し、各事業者のニーズに応じて、再生可能エネルギー電力と系統電力を最適に分配することで、年間約1万5,000 t※1)のCO2削減を見込んでいる。今回得られた知見を、スマートシティや自治体向けサービスに展開し、今後、本モデルを適用したEFaaS(Energy and Facility Management as a Service)※2)事業を、Lumada 3.0を体現するHMAXとしてスケーリングする計画である※3)

(株式会社日立パワーソリューションズ)

※1)2022年度のCO2換算値で0.376 ㎏-CO2/kWhとして自社にて試算した、エリア内の日立グループ5事業者での再生可能エネルギー活用による削減量(日立パワーソリューションズ調べ)。

※2)エネルギーマネジメントとファシリティマネジメントを組み合わせ、全体をデジタルで管理することで、設備の省エネルギー運転、高効率運用化、CO2排出量削減など、環境に配慮するとともに、長期オペレーションの最適化や関連業務の効率化などのマネジメントを可能とするサービス。
※3)日立と日立パワーソリューションズが、茨城県ひたちなか市の工業エリア内で設備シェアリングとマイクログリッドを融合した複合型マネジメントモデルの構築に着手(2025.11)

[図16]設備シェアリングとマイクログリッドを融合した複合型マネジメントモデルの概要 [16]設備シェアリングとマイクログリッドを融合した複合型マネジメントモデルの概要

17. 保守関連問い合わせ対応における生成AIエージェントの導入

日立パワーソリューションズでは、制御機器の障害発生時に顧客から対応依頼を受けるサービスレスポンスセンターにて生成AIの活用を開始した。本センターでは、現場に駆け付ける保守員への作業指示を行うにあたり、機器マニュアルや過去の対応事例などの文書を参照しつつ障害の原因分析や対策立案を行う。参照文書は多岐にわたるため、時間と労力が必要になる業務である。そこで、本センターでは各種文書からの情報抽出ノウハウを組み込んだAIアプリを開発し、問い合わせ内容に応じた適切な情報探索を効率的に行う体制を整えた。これにより、保守受付担当の初動判断が迅速化され、サービス品質が向上する。

今後は他の保守業務にも同様のAIを導入する予定である。これにより、日立パワーソリューションズの多くの保守サービスにおいてサービスレスポンスセンターと同様の効果が期待でき、これまでより迅速かつ高品質な保守サービスの提供が可能になることを見込んでいる。

(株式会社日立パワーソリューションズ)

[図17]実業務で活躍するAIのイメージ [17]実業務で活躍するAIのイメージ

18. BIM/CIM×三次元流体解析によるダム放流デジタルツイン

ダム再開発における放流設備設計は、従来の縮小模型による水理実験に依存し、検討に約1年を要するなど、期間とコストの負担が大きいことが課題であった。

これに対し、株式会社大林組、日立パワーソリューションズ、日立製作所は、岐阜県の新丸山ダム再開発工事においてBIM/CIM(Building Information Modeling/Construction Information Modeling)※1)データを基盤とした三次元流体解析技術※2)を導入した。本技術により、最新の現地状況を反映した高精度なデジタルツインを構築し、設計検討期間を約3か月に短縮することができた。

解析では、既存ダムの放流設備から下流河道までをモデル化し、再開発現場の水位や流速の詳細な予測を実現した。護岸への衝突に伴う渦の発生や、水面付近と河床近傍で異なる流速分布などの内部流況を可視化している。

さらに、新設ダムの仮排水トンネルについては、流量に応じた吐口部の減勢や跳ね返り流れなど、放流状況の把握が可能である。これらの結果は、施工段階の安全対策検討およびリスク評価の高度化に寄与している。

本取り組みは、Lumadaのデジタル技術とマルチフィジックス解析を融合し、インフラのレジリエンス向上に貢献する。今後はAIを組み合わせた高度なデジタルサービスとして展開し、防災・減災力強化をめざす。

(株式会社日立パワーソリューションズ)

※1)建築・土木分野の建設プロセス全体で三次元モデルを活用し、情報共有の効率化を図るための手法。

※2)流体(気体・液体)の動きや流れに伴う物理現象を数値的に解析し、主に計算流体力学を活用して、流体の速度・圧力などの分布をシミュレーションする手法。

[図18]ダム再開発工事における三次元流体解析技術の適用 [18]ダム再開発工事における三次元流体解析技術の適用

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