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Hitachi Global

コネクティブインダストリーズ

ヘルスケア/計測・分析

2026年2月24日

ヘルスケア, 計測分析システム


1. 多様化する半導体製造に対応する小口径ウェーハ用測長SEM

AI(Artificial Intelligence)市場の広がりとともにデータセンターでの電力消費が増大し、省エネルギー化への対応が求められている。こうした中、直径200 mm以下のウェーハを用いて製造されるパワーデバイスや光通信デバイスの市場が拡大しており、さまざまなウェーハサイズや新基板材料に対応可能な製造・計測装置への需要が高まっている。株式会社日立ハイテクはこの需要に着目し、複数のウェーハサイズ(75~200 mm)やさまざまな厚さ(200~1,100 μm)、透明基板や絶縁性基板など非Si(ケイ素)材料にも適応可能な新型測長SEM(Scanning Electron Microscope)「CS5000」を開発し、2025年に市場に投入した。

日立ハイテクは1984年に半導体計測市場に参入以来、累計6,000台超の測長SEMを出荷する世界No.1実績※)を有する。CS5000は、最先端300 mmウェーハ向け測長SEMで培った電子線技術を基盤に、高い分解能・再現性・安定性を実現するとともに操作性を大幅に改善し、高性能かつ利便性の高い運用を可能にしている。


※)2025年11月末時点、日立ハイテク調べ。

[図1]小口径ウェーハ用測長SEM CS5000の外観 [1]小口径ウェーハ用測長SEM CS5000の外観

2. 世界初の完全自動化体外診断向け質量分析装置 cobas i601

臨床検査における質量分析は、より高い特異性ならび感度による測定が可能であることから、血中薬物検査、内分泌検査などの検査で用いられている。一方、測定の前処理から結果のデータ処理までの従来の検査工程には多くの手作業が介在し、専門的な知識とスキルが求められる点が普及の妨げとなっていた。

「cobas i601」は、煩雑で専門的なサンプル前処理やデータ後処理が必要だった質量分析を、臨床検査装置として世界で初めて※)完全に自動化するものである。検体の前処理、分析対象部の分離、質量分析による測定、データ解析までを、単一の装置に集約し、高い処理能力を実現するとともに、ワークフローの効率を大幅に向上した。完全な自動化を実現したことにより、専門知識がなくとも質量分析の検査が可能となり、オペレーターに依存しない一貫した検査結果が提供できる。

cobas i601は、従来、専門的な検査室で行われていた質量分析の検査を多くの施設で日常的な検査にすることを可能にし、診断・治療の深化と、人々のQOL(Quality of Life)向上に貢献する。

(株式会社日立ハイテク)

※)臨床検査装置として、日立ハイテク調べ。

[図2]体外診断向け質量分析装置 cobas i601の外観 [2]体外診断向け質量分析装置 cobas i601の外観

3. 遺伝子解析装置 LABOSPECT GA-5

病院の臨床検査室では感染症遺伝子検査の迅速化と効率化が求められている。日立ハイテクは、イタリアのELITech社との協業により、検体・試薬などの随時投入やランダムアクセスに対応した遺伝子解析装置LABOSPECT GA-5を製品化した。ELITech社の豊富な試薬ラインアップと組み合わせ、最大24項目の同時分析が可能である。

主な特長は以下のとおりである。

(1)PCR(Polymerase Chain Reaction)検査の完全自動化
検体投入後の核酸抽出からPCR、結果出力までを完全自動化し、作業者の熟練度に依存しない安定した検査品質を提供する。
(2)検体・試薬・消耗品の随時投入機能
緊急検体への優先対応や、動作中の試薬・消耗品の追加が可能であり、柔軟な運用を実現する。
(3)ランダムアクセス対応
複数のPCRウェルを個別に温調する技術により、検体の投入順に関係なく効率的な処理と多項目同時検査を可能にする。

今後は、PCR試薬の体外診断用医薬品製造販売承認を順次取得予定である。さらに、デジタルソリューションとの連携を視野に入れ、院内検査ワークフローの革新を推進する。

(株式会社日立ハイテク)

[図3]LABOSPECT GA-5日立遺伝子解析装置の外観 [3]LABOSPECT GA-5日立遺伝子解析装置の外観

4. 日立ハイテクによる粒子線治療事業の取り組み

日立ハイテクは、「がんを恐れることのない社会」の実現をめざし、粒子線治療事業を積極的に推進している。

2025年6月30日には、地方独立行政法人東京都立病院機構より、東京都立駒込病院敷地内に導入予定の陽子線治療システム一式を受注した。本施設はコンパクトなレイアウトで構成され、加速器一式および回転ガントリ型治療室2室を備え、2030年度の稼働開始を計画している。

また、筑波大学附属病院陽子線治療施設整備運営事業にて納入した陽子線がん治療システムが、筑波大学附属病院陽子線治療センターにおいて2025年9月29日より治療を開始した。本事業は、日本で初めての陽子線治療施設の更新であり、加速器一式と回転ガントリ治療室2室を備えたシステム一式に加え、施設の設計・建設から運転・保守・維持管理までを含むPFI(Private Finance Initiative)方式による包括的な事業である。限られた敷地内での施設更新のモデルケースとしても注目されている。今後も、がん治療の革新をリードする筑波大学のパートナーとして、20年にわたる運営支援を継続していく。

(株式会社日立ハイテク)

[図4]東京都立駒込病院 陽子線施設完成予想図 [4]東京都立駒込病院 陽子線施設完成予想図

5. 免疫治療の普及を加速する細胞自動培養装置 iACE mini

免疫治療分野ではCAR(Chimeric Antigen Receptor)-T細胞やTCR(T Cell Receptor)-T細胞などを用いた細胞療法の開発が活発に進められており、血液がんや自己免疫疾患に対して高い有効性が確認されている。これらの技術を臨床適用するには、CARやTCRの遺伝子構造などの研究開発に加え、品質安定性を確保する製造技術の開発が重要な課題となる。

日立ハイテクは、研究開発段階からCMC(Chemistry, Manufacturing and Control)開発への橋渡しを目的として、細胞自動培養装置「iACE mini」を開発した。本装置は、CAR-T細胞製造の細胞播種、培養、培地サンプリング、上清回収、細胞回収の各工程を自動化した装置である。手作業で培養した培養環境を維持して品質を確保し、製造工程を自動化した。実際に本装置を用いてT細胞を自動培養した結果、T細胞の構成比、増殖率、生存率、純度などの指標が手培養と同等であることが確認できた。本装置を適用することにより、新規細胞薬の開発迅速化と免疫治療の普及に貢献し、「がんを恐れることのない社会」を実現する。

(販売開始:2025年10月)

[図5]細胞自動培養装置iACE miniの外観 [5]細胞自動培養装置iACE miniの外観

6. 超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡 SU9600

AI需要の増加に伴い、半導体や高機能材料の研究開発においては微細構造の高精度観察と効率化が求められている。特に半導体の前工程分野では開発スピードの加速が重要であり、開発初期段階で複数の加工条件から迅速に性能を満たす加工条件を確立する必要がある。そのため、高精度かつ高スループットな断面計測や大量データ解析の需要が高まっている。

こうした背景を踏まえ、日立ハイテクは汎用SEMにおける世界最高レベルの二次電子像分解能(0.4 nm/加速電圧30 kV観察時)を実現しつつ、観察業務の効率化を可能とするスキャン機能を強化した超高分解能電界放出形SEM「SU9600」を2025年に開発・発売した。SU9600は日立独自の基盤技術による高精度計測・安定性に加え、自社開発の自動化支援ソフト「EM Flow Creator」を用いることで、顧客の観察業務の省力化と効率化を実現し、次世代半導体や高機能材料の研究開発分野を支援する。さらに、多様な観察ニーズに対応する分析機能により、アカデミア分野での貢献を実現する。

 

[図6]超高分解能電界放出形SEM SU9600の外観 [6]超高分解能電界放出形SEM SU9600の外観

7. 材料探索AI技術 Chemicals Informatics

電子デバイスなどに用いられる金属薄膜材料の開発において、材料探索AI技術CI(Chemicals Informatics)とMI(Materials Informatics)を用いた開発効率化※)に関する検証実験を行い、全体の開発工数を8割以上削減し、業務効率化できることを実証した。

MIとは、過去に蓄積した実験データからAI技術を活用して素材の配合率や組成などを導き出す技術である。CIは、特許などの公開データを基にした独自のデータベースを用いることで開発に最適な材料の選定を支援する、日立ハイテク独自のサービスである。本実験では、日立ハイテクが提供するMIとCIを組み合わせることで、過去に実験データの蓄積がない新たな材料の開発においても、文献の調査や実験計画法による総当たり実験を大幅に削減することができ、開発業務の効率化が可能であることを実証した。今後、本実験のプロセスをサービスとして提供し、顧客の材料開発効率化への貢献をめざす。

※)2025年5月、日本材料学会技術賞受賞。同年9月、エレクトロニクス実装学会ポスターアワード受賞。

[図7]CIとMIの連携イメージ [7]CIとMIの連携イメージ

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