2024年9月11日
薬効や疾患発症のメカニズム解明および新規バイオマーカー探索を迅速化、個別化医療の発展に貢献
株式会社理研ジェネシス
株式会社日立製作所
理研ジェネシスと日立による「Olink Explore」サービス高度化の概念図
株式会社理研ジェネシス(以下、理研ジェネシス)と株式会社日立製作所(以下、日立)は、日立の説明可能なAI「B3*1」と生成AIを活用して、理研ジェネシスがサービスを提供しているタンパク質定量解析「Olink Explore*2」を高度化し、アカデミアや製薬会社向けに本日より新たなサービス(以下、本サービス)として提供を開始しました。「Olink Explore」は、微量の検体(主に血清・血漿)に対し、多数のタンパク質(現時点で約 3000 種類〜)を網羅的に解析できる技術で、理研ジェネシスは国内外にサービス提供しています。本サービスは、「Olink Explore」の膨大なアウトプット情報に、日立独自の「B3」や生成AIを活用した解析を組み合わせるもので、薬剤の効果や疾患発症のメカニズム解明、および新規タンパク質バイオマーカー*3の探索を迅速化します。さらに、一般的な血液検査の項目や遺伝子など、タンパク質以外のさまざまな物質データを組み合わせて統合的に解析すること(マルチオミックス解析)も今後可能になる予定です。これにより、個別化医療をはじめとする次世代医療の発展に貢献します。
なお、両社は2024年3月〜5月に、「Olink Explore」のアウトプット情報を「B3」や生成AIで解析するPoCを実施し、疾患と遺伝子・たんぱく質の相互作用の情報が従来よりも迅速に入手・検索可能になることを確認しています。
同じ病気の患者においても、医薬品の薬剤の効き方や生活の質を悪化させる有害事象の発生有無には個人差があることから、近年、患者個人の体質や病気の状態に合わせた「個別化医療(オーダーメイド医療)」の実現に向けた研究・開発が進んでいます。こうした中、患者ごとに適切な治療を選択するため、治療の有効性・安全性を適切に評価する、タンパク質や遺伝子などの生体内指標「バイオマーカー」を、さまざまな患者データの中から探索する研究が盛んに行われています。
患者の血清・血漿からタンパク質バイオマーカーの候補となる物質を探索する場合、従来方法では一度の検体量から測定できるタンパク質の種類には限界がありました。しかし、理研ジェネシスが受託サービスを展開する「Olink Explore」を活用することで、より多くの種類のタンパク質が検出可能になります。その一方で、アウトプット情報から必要な結果を抽出するには、データクレンジングを入念に行う必要があり、長い作業時間を要します。特に、エンリッチメント解析*4では、結果が膨大になることもあり、解釈に時間がかかっていました。
日立は2019年から、「B3」を用いたLumada*5ソリューション「Hitachi Digital Solution for Pharma/バイオマーカー探索サービス」を提供しており、「Olink Explore」で測定可能なタンパク質数と同程度の大量のデータをもとにした遺伝子機能やバイオマーカー探索を支援してきた実績があります。加えて、AIから得られた遺伝子機能と疾患の関連性を調査する作業を、生成AIを活用して効率化してきました。
そこで両社は、理研ジェネシスが受託サービスを展開する「Olink Explore」のアウトプットデータに「B3」や生成AIを活用して解析することで、さらなるバイオマーカー探索業務の支援が可能になると考え、協業を開始しました。
日立では、バイオテクノロジーやITの進展、および高齢化社会の到来に伴い、ヘルスケア分野を注力事業の一つとしています。なかでもバイオ医薬分野では、長年にわたり豊富な実績を有するプロダクト、OT*6、ITとドメインナレッジを組み合わせて、創薬プロセス全体の期間短縮やコスト削減への貢献をめざしており、今回の理研ジェネシスとの協業はその一環となります。
タンパク質定量解析「Olink Explore」に、日立の説明可能なAI「B3」や生成AIを活用した解析をオプションとして提供するサービスです。
理研ジェネシスは、最先端の遺伝子解析技術やバイオインフォマティクスを活用した遺伝子受託解析サービスや製品を提供し、個別化医療における技術・経験・ノウハウを保有する数少ない日本企業の一つです。
2007年、凸版印刷株式会社(以下「凸版印刷」)、国立研究開発法人理化学研究所(以下「理化学研究所」)および株式会社理研ベンチャーキャピタルの共同で、個別化医療における理化学研究所の最先端研究成果を広く社会に展開し医療現場における実用化を促進することを目指し、設立しました。2014年、凸版印刷およびシスメックス株式会社(以下「シスメックス」)が、個別化医療における遺伝子検査事業の発展のため、相互に協力していくことに合意し、それぞれ理研ジェネシスに出資。さらに2016年、ゲノム医療の臨床実装の実現に向けて、シスメックスの子会社となりました。
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」という3セクターの事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。3セクターの2023年度(2024年3月期)売上収益は8兆5,643億円、2024年3月末時点で連結子会社は573社、全世界で約27万人の従業員を擁しています。