2026年5月26日
株式会社日立製作所(以下、日立)は、このたび、公益財団法人発明協会が主催する令和8年度(2026年度)全国発明表彰において、日本経済団体連合会会長賞を受賞しました。受賞対象は、「利用者による鍵の保管が不要で安全な公開型生体認証方式にの発明(特許第6821516号)」です。
全国発明表彰は、1919年に科学技術の向上および産業の発展に寄与することを目的として創設され、多大な功績を挙げた発明や考案、意匠に加え、その優秀性から今後大きな功績を挙げることが期待される発明等を表彰するものです。今回の受賞は、「秘密鍵を保管しない」という発想に基づく新しい認証方式「公開型生体認証基盤(Public Biometric Infrastructure/以下、PBIと表記)」を考案し、その基礎理論の確立から製品化、社会実装までを世界に先駆けて実現した点が高く評価されたものです。
日立は、より安全で利便性の高いサービスの実現に向け、さまざまな分野へのPBIの展開を推進するとともに、AIを活用し、金融・流通・モビリティなど複数ドメインを横断した個人データのセキュアな利活用によるサービス提供に取り組みます。豊富なドメインナレッジとAIで差別化したLumada3.0を通じて、デジタル社会の信頼性向上に貢献していきます。
近年、フィッシングなどのサイバー攻撃の増加を背景に、従来のパスワードに代わり、公開鍵認証や生体認証の導入が進んでいます。一方で、公開鍵認証では秘密鍵の安全な保管が不可欠であり、利用者に鍵管理デバイスの携帯を求める負担や、サーバー保管時の漏洩リスクが指摘されています。また、生体認証は利便性に優れる一方で、生体情報は変更が困難であり、漏洩時の影響が大きいことが課題でした。こうした課題に対し、日立は2000年代初頭から「秘密鍵を保管しない」という発想に基づく新たな認証方式の開発に取組み、2013年にPBIのコンセプトと基礎理論を発表しました。以来、理論確立から技術開発、製品化、社会実装までを世界に先駆けて実現しています。
PBIでは、以下のような仕組みで認証を行います。
この仕組みにより、漏洩リスクのある情報をシステム内に保管する必要がなくなるため、利用者はICカードやスマートフォンなどのデバイスを持たずに、安全・安心にサービスを利用できます。
従来の認証技術とPBIの比較
日立は、金融分野から日常生活に至るさまざまなサービス基盤にPBI技術を導入しており、手ぶらで便利な社会の実現に向けて、その利用範囲を着実に広げています。
銀行
スーパーマーケット、コンビニエンスストア
ホテル
鉄道改札
以下、各業種へ「SAKULaLa」を展開
‐スーパーマーケット セルフレジでの決済・ポイント付与・年齢確認
‐飲食店・物販店 決済
‐家電量販店 ポイント付与・限定商品の本人確認
‐ホテル セルフチェックイン、決済
‐鉄道改札 定期券利用時の本人確認
‐オフィス 入退館時の本人確認
PBI技術に関連する複数の論文*2が、セキュリティ分野のトップ国際会議や生体認証分野のトップ国際会議などに採録され、学術界から高い評価を得ています。またこれらの論文は、国際標準規格ISO/IEC 24745 およびISO/IEC 30136に引用され、この規格が米国NISTのガイドラインSP800-63Bに反映されるなど、本分野をリードする技術として影響を与えています。
| 発明の名称 | 利用者による鍵の保管が不要で安全な公開型生体認証方式の発明(特許第6821516号) |
|---|---|
| 発明者 | 株式会社日立製作所 研究開発グループ システムイノベーションセンタ 主管研究員 高橋 健太 |
| 発明実施功績賞 | 株式会社日立製作所 代表執行役 執行役社長兼CEO 德永 俊昭 |
日立製作所について
日立は、IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、社会インフラをデジタルで革新し続けるグローバルリーダーをめざし、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出することで、お客さまと社会の課題を解決します。2025年度(2026年3月期)売上収益は10兆5,867億円、2026年3月末時点で連結子会社は606社、全世界で約29万人の従業員を擁しています。詳しくは、www.hitachi.com/ja-jp/をご覧ください。
お問い合わせ先
株式会社日立製作所 研究開発グループ