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Hitachi Global

想いを届け、一人ひとりの挑戦を支える──当事者視点で拓くインクルーシブな未来

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2026.04.10

E.S

キーワード:

広報宣伝

グローバルブランドコミュニケーション本部で社内向け広報を担うE.S。全盲の当事者としての視点を生かしながら、“誰ひとり取り残さない”情報発信をめざして取り組んでいます。できないことを「できないまま」にせず、自らを更新し続ける原動力とは。挑戦を支える風土の中、可能性を広げてきたその20年の歩みに迫ります。

挑戦を重ねて開いた世界への扉。あきらめない心に導かれ、理想の職場へ


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生後間もなく全盲となったE.S。幼い頃から負けず嫌いな性格で、できないことを「できないまま」にしておかない子どもでした。

「目が見える人がやっていることは、なんでもやってみたいタイプでした。保育園の運動会の練習で、皆が縄跳びをしているのに自分だけできないのが悔しくて。必死に練習し、本番までにできるようになりました。 卒園前に竹馬に乗る課題があったときも、居残りで練習を重ね、最後にはちゃんと乗れるようになったのをよく覚えています」

京都の盲学校小学部を卒業後は、単身で東京へ。好奇心はさらに広がり、挑戦を加速させます。

「高校時代、全国障がい者スポーツ大会に水泳と陸上で出場しました。アメリカの高校への1年間の交換留学にも参加しています。 大学では政治学を専攻しながら教職課程を履修し、中学社会と高校公民の免許を取得しました。大学院進学も視野に入れ、東京にあるドイツの国際文化機関に通ってドイツ語を学び、短期留学も経験しています。

 

テレビの企画で家族とキリマンジャロ登頂に挑戦したのもこの頃です。酸欠でふらふらになりながらも、頂上に立った瞬間の達成感はかけがえのない思い出です」

障がい当事者の視点を、ものづくりに生かしたい。そしてグローバルな環境で力を発揮したい。そんな想いの延長線上にあったのが、株式会社日立製作所(以下、日立)でした。

「私は技術者ではありませんが、モノづくり企業に全盲の社員がいること自体に意味があると考えていました。当時も今も、アクセシブルな製品やシステム開発に、間接的でもいいから貢献できればと思っています。

 

高齢化が進む中で、障がいのある人は今後さらに増えていくはずです。ダイバーシティを前提にした製品やサービスが求められる時代になれば、そこに自分の役割があるのではないかと考えていました。

 

また、国籍や文化の異なる人たちと協働したいという想いも強くありました。当時の日立は今ほど(売り上げや社員の)海外比率は高くなかったものの、確実に世界へ広がっていくフェーズ。ここでならグローバルに働く未来を描けると感じて、入社を決めました」

支え合いが、力に変わる。対話で広がる可能性、チームで育むキャリア


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グローバルブランドコミュニケーション本部に所属するE.S。現在は、グループ社員向けのインターナルコミュニケーションを担当しています。

「日立グループ社員がアクセスできるニュースサイトを担当しており、記事の企画や執筆、掲載スケジュールの管理などを行っています。記事のテーマは、役員のメッセージや講演内容、技能五輪やスポーツ大会で活躍した選手の表彰、イベントの案内やレポートなど、多岐にわたります。グループ内で起きている出来事やトップの経営メッセージを、正確かつ分かりやすく届けることが私たちのミッションです」

障がい者インクルージョンを経営レベルで推進する日立。業務に携わる中で、さまざまな支援を受けてきたと言います。

「パソコンには画面上の文字を読み上げるスクリーンリーダーがインストールされていますし、文書編集や英語のスペル確認、取材や打ち合わせでメモを取るときに使う点字ディスプレイも接続されています。どちらも高額な機器ですが、必要性を説明すると部署の皆さんが理解し、業務環境を整えてくださっています。私が働き続けられているのは、継続的な支援があってこそ。本当に感謝しています」

一方、業務面でもチームによるきめ細やかなサポートがあると言います。

「写真の選定やレイアウト調整など、視覚情報をもとに判断する作業はチームメンバーが助けてくれています。また、スクリーンリーダーでは資料を一行ずつ読み進めるため、太字や色のついた文字だけを拾って要点を把握することができません。大量の資料を読み込んで記事にまとめるのに時間がかかる点も理解してもらっています」

必要な配慮は人それぞれ。当事者と周囲が対話を重ねながら、最適な形を模索してきました。

「コロナ禍でWeb会議ツールが導入された際、スクリーンリーダー環境だとパソコンが固まってしまい、円滑な対応が難しい状況でした。

そのことを率直に伝えたところ、導入時期を柔軟に調整し、私が無理なく使えるタイミングを見極めながら進めてくださったおかげで、業務をスムーズに継続することができました。状況をこまめに共有し合い、必要な対応を一緒に考えることの大切さを痛感しています」

こうした風土の背景にあるのが、日立に創業以来受け継がれる“開拓者精神”。挑戦する人を後押しするカルチャーが、成長を支えてきました。

「配属当初は自分に何ができるのかをうまく伝えられず、1年目は担当業務が決まっていませんでした。そんな中で社内広報の存在を知り、『やってみたい』と上司に伝えると、翌年度から担当させてもらえることに。日立は、チャレンジしようとする人に対して、どうすれば実現できるかをともに考えてくれる会社です。困りごとを相談すると、具体的な解決策を一緒に探してくれる人が本当に多いと思います」

支援を受けながら、自らキャリアを切り拓いてきたE.S。現在の仕事に確かな手ごたえを感じています。

「日本語は同音異義語が多く、誤変換が起きやすいため、私が書く記事は必ず誰かに確認してもらっています。 一方で、私は助詞の抜けやスペルミスに敏感です。目で読んでいると見逃しがちな誤記を発見することが少なくありません。 『最後にチェックしてほしい』と頼まれることも多く、チームで互いの強みを生かし合いながら、成果につなげられていると感じます」

必要なのは、学び続ける覚悟。自分を更新することで、可能性が広がる


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これまでさまざまな社内向けコンテンツを担当してきたE.S。中でも大きな成果を実感したのが、新任役員を特集する大型企画でした。

「入社5年目で、新任役員に取材する特集記事の取りまとめを任されました。スケジュール管理から依頼状の作成・送付、秘書の方々との調整、翻訳手配、原稿確認、Web掲載準備、公開後のフォローまで、プロジェクト全体をリードする役割です。

新任役員は多い年で8人ほど。取りまとめには苦労もありましたが、役員の方々とやり取りする重圧の中、前任者や秘書の皆さんに支えていただきながら、なんとかやり切ることができました。無事に公開できたときの充足感は今でも忘れられません」

その後、10年近く担当したこの特集は、キャリアの基盤となりました。ここでも、裁量を託し、支え続ける日立の風土が成長を後押ししたと言います。

「任せるとはいえ、決して任せきりではありません。『進捗はどう?』といつも声をかけてくれる上司や、すぐに相談できる先輩がいたからこそ、大きな仕事に挑戦できました。この特集記事で進め方の基本を身につけられたことは、その後の企画にも応用できています。広報担当としての土台となる経験になりました」

そうした中で一貫して心がけてきたのが、円滑なチームワーク。組織の一員としての自覚が、信頼関係を育んできました。

「障がいがあることで、どうしてもサポートが必要な場面があります。一緒に働くメンバーも多忙です。少しでも負担をかけないよう、起こりそうなことを先回りして予測し、助けが必要になりそうだと感じた段階で、できるだけ早く共有するようにしています」

その後も情報発信の分野で経験を重ねてきたE.S。長年の歩みの中で、たどり着いた信念があります。

「活躍し続けるためには、向上心を持って自分をアップデートし続けることが大切だと思っています。同じ仕事でも、求められるスキルやツールは常に変わっていきます。何をすべきかを自分で考え、学び、環境に適応し、ときには未経験の領域に踏み出すことも必要です。

私自身、スクリーンリーダーを使用したWeb会議ツールの操作方法を動画で学んだり、マウスが使えなくてもビジネスソフトを使いこなせるよう社外講習を受けたり。業務に関連する資格も取得し、TOEICも目標スコアをクリアするまで挑戦し続けました。

スキルが増えると、任せてもらえる仕事の幅も広がります。就職はゴールではなくスタート。自分の可能性を広げ続けることが、組織の成長にもつながると信じています」

情報発信で、想いを届ける。挑戦を支える文化の中で、進化し続ける存在に


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入社20年の節目を迎えたE.S。社内広報の担い手として次に見据えるのは、インクルーシブな情報発信です。

「私は、経営情報やグループの動きを適切に伝えることで社員が会社の方向性を自らの課題として理解し、成長への貢献と日立で働くことへの誇りにつなげることをめざして、業務に取り組んでいます。

日立グループでは、視覚に障がいのある社員をはじめ、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが働いています。そのすべての仲間に情報を届けるために、まだまだできることがあると考えています。

例えば、Web記事で表を使用する場合、画像化すれば制作側の作業は簡単になりますが、スクリーンリーダーでは内容を読み取ることができません。動画による発信も同様です。英語のメッセージに字幕だけを付けても、英語が苦手な視覚障がい者には十分に伝わりません。“誰ひとり取り残さない”ために、情報が正しく伝わる形をこれからも考え続けていきたいです」

キャリアを通じて、互いを尊重し、誠実に向き合い、挑戦を恐れない日立の価値観を体現する。そうやって、自ら道を切り拓いてきた当事者のひとりとして、未来の仲間に語りかけます。

「私を受け入れた部署にとって、私は初めての全盲の社員でした。私にとっても大きな挑戦でしたが、職場にとってもチャレンジだったと思います。

また、私は日立のERG(Employee Resource Group:従業員リソースグループ)にも参加していますが、そこにも、障がいがあっても当たり前に働ける環境をつくるために活動している、たくさんの仲間がいます。

業務の内外を問わず、挑戦する人がいて、それを支える人がいるのが日立らしさ。自分は何がしたいのか、どう貢献できるのかを考えながら、それぞれの視点や強みを生かして、新しい一歩を踏み出してもらえたらうれしいです」

挑戦を続ける当事者として、挑戦を支える側として。その歩みは、これからも日立の未来とともに続いていきます。

※ 記載内容は2026年2月時点のものです


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